VOL.195 AUGUST 2024
EXPLORE THE UNIQUE CHARM OF MANGA IN JAPAN 大学が運営する東京都心にある日本最大級のマンガ図書館

図書館1階にある企画展示では原画の展示なども行う。
Photo: 明治めいじ大学米沢よねざわ嘉博よしひろ記念館・現代マンガ図書館

東京都心・千代田ちよだの一画に、大学が運営するマンガ専門の図書館がある。マンガの単行本や日本のマンガを研究する際の貴重な資料が網羅され、蔵書数は国内最大級約41万を数える。図書館のスタッフに話を聴いた。

東京都千代田区にある明治めいじ大学・駿河台するがだいキャンパス*の一画に明治めいじ大学が運営する「明治めいじ大学米沢よねざわ嘉博よしひろ記念図書館・現代マンガ図書館」がある。この図書館には二つのもととなる施設があった。2009年10月、マンガ評論家の収集したコレクションが所蔵されている「米沢よねざわ嘉博よしひろ記念図書館」を駿河台するがだいキャンパスに開館。そして、2021年3月に別の場所にあった「現代マンガ図書館」を同じ場所に移設して複合運用を開始して今日に至っている。

2022年6月には、この図書館に岸田総理大臣が来館、館内を視察したあと、ちばてつや**氏、里中満智子氏(「世界を魅了する日本のマンガ創作のオリジナリティ」参照)、弘兼ひろかね憲史けんし氏***など国内の著名マンガ家との懇談会が開催され、さまざまな話に花が咲いたと「明治めいじ大学米沢よねざわ嘉博よしひろ記念図書館・現代マンガ図書館」スタッフのストークス・セリーナさん。設立の経緯をこう説明する。

「貸本屋だった内記ないき稔夫としお****氏が1978年に設立した日本初のマンガ専門図書館「現代マンガ図書館」は、2009年にそのコレクションを明治大学に寄贈し、同図書館は2010年に「明治めいじ大学現代マンガ図書館」として発足しました。現在、約27万冊の蔵書数を誇ります。かたや、コミックマーケット(「世界最大規模のマンガ同人誌の祭典「コミックマーケット」」参照)の創設者の一人でマンガ評論家の米沢よねざわ嘉博よしひろ氏が収集してきたコレクションを「明治めいじ大学米沢よねざわ嘉博よしひろ記念図書館」として駿河台するがだいキャンパスに開設していましたが(蔵書数14万冊)、これら二つの図書館を併せて、2021年3月、全部で約41万冊の資料を所蔵するマンガ専門の図書館として発足した施設が当館「明治めいじ大学米沢よねざわ嘉博よしひろ記念図書館・現代マンガ図書館」です」。

蔵書の中には、マンガ単行本、マンガ雑誌以外に、内記ないき 稔夫としお氏が50年にわたり収集した貴重な1950年代から1960年代の貸本マンガ*****が含まれているという。また、一方では米沢よねざわ嘉博よしひろ氏のコレクションには同人誌、風俗雑誌、アニメ雑誌など希少な資料あり、それらも閲覧できるのが最大の特徴だ。


マンガ雑誌などもビニール袋に入れてとてもきれいな状態で保管されている。
Photo: 明治めいじ大学米沢よねざわ嘉博よしひろ記念館・現代マンガ図書館

閲覧室の様子。この場所で来館者が閲覧を希望したマンガを読むことができる。
Photo: 明治めいじ大学米沢よねざわ嘉博よしひろ記念館・現代マンガ図書館

「建物としては小さな図書館ではありますが、所蔵しているマンガの冊数はどこにも引けを取らないと思います。著名なマンガ家の原画や下絵の展示なども定期的に開催しています。海外からのお客さまからは、住んでいる国では閲覧が難しい日本のマンガ雑誌や同人誌資料の閲覧や、複写希望が多く寄せられます。同人誌を一人で一度の利用で50冊も閲覧したかたもいました。海外からの学校の団体見学の希望も増加しています。現在流通している雑誌から、入手困難な貴重なマンガまで幅広い蔵書に「まるでマンガのワンダーランドだ」、と海外の利用者から言われたことはとても印象に残っています」と生まれも育ちも日本のストークスさんは話す。

明治めいじ大学で進めている世界最大級のマンガ・アニメ・ゲームのアーカイブ施設「国際マンガ図書館」構想において、この図書館はその起点の施設であるという。「今後、世界に誇る日本のサブカルチャーの学術的探究や文化的活用の使命を担う拠点となる施設を目指しています」とストークスさん。

国内外のマンガ好きが集まる都心の貴重な専門図書館。ゆっくり滞在して、展示を見るもよし、自分の好きな作家や分野の資料を閲覧するもよし、ぜひとも訪れてマンガの世界に浸ってみてほしい。


図書館1階では企画展を年間3回ほど開催している。
Photo: 明治めいじ大学米沢よねざわ嘉博よしひろ記念館・現代マンガ図書館

図書館は貴重な資料も多く、請求して閲覧する閉架式図書館だ。この箱の中にぎっしりと資料が詰まっている。
Photo: 明治めいじ大学米沢よねざわ嘉博よしひろ記念館・現代マンガ図書館

* 東京都市部のほぼ中心に位置する千代田ちよだの北部に位置する。
** 1939年生まれ。日本のマンガ家。代表作に「あしたのジョー」(原作:高森朝雄)、「ハリスの旋風」、「あした天気になあれ」など多数。
*** 1947年生まれ。会社勤めからマンガ家に転身。代表作に「島耕作」シリーズ、「人間交差点」など多数。
**** 1937年生まれ、2012年没。18歳で貸本屋を開業。1978年、現代マンガ図書館を設立。“あらゆるマンガを半永久的に保存する、という理念の下私財を投じてマンガを収集した。その後、2009年にコレクションを明治めいじ大学に寄贈、同図書館は「明治大学現代マンガ図書館」として2010年から開設され、現在は「明治めいじ大学米沢よねざわ嘉博よしひろ記念図書館・現代マンガ図書館」となっている。
***** 貸本屋が貸し出す書籍や雑誌のこと。1950年ごろには貸本マンガブームが起こり、貸本専門マンガも出版された。最盛期は日本全国に約30,000軒あったという。(現在の日本ではネット上では存在するが、実店舗はほぼ姿を消している。)


By TANAKA Nozomi
Photo: Yoshihiro Yonezawa Memorial Library of Manga and Subcultures / Contemporary Manga Library

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