VOL.196 SEPTEMBER 2024
JAPAN’S ENJOYABLE PUBLIC AQUARIUMS
[政策お知らせ I]第2回AZEC閣僚会合の開催について
第2回AZEC閣僚会合参加者による記念撮影
脱炭素化と経済成長、エネルギー安全保障を同時に実現させることは、昨今の全世界的課題である。それを踏まえ、日本を含む11のパートナー国*からなるアジア・ゼロエミッション共同体(以下AZEC)の第2回閣僚会合が、2024年8月21日にインドネシアのジャカルタで開催された。その概要と成果について紹介する。
AZECについて
経済成長の著しいアジア各国では、今後もエネルギー需要の増大が見込まれるが、現状では、エネルギーの多くを化石燃料に依存している。一方でカーボンニュートラル実現を掲げ、脱炭素化に向けた取組を進めていくことは全世界的な課題であることから、特にアジア各国では、経済成長と安定したエネルギー供給のバランスをどう取っていくかが非常に重要になってきている。そこで、2022年に、日本がアジア各国の脱炭素化の取組を支援し協力していくために提唱したのがAZECだ。昨年2023年には、3月に第1回閣僚会合、12月に第1回首脳会合が開催され、脱炭素化に向けた基本原則を策定するとともに、具体的な協力プロジェクトの実施や化石燃料に頼らないエネルギー供給への移行を推進してきた。
第2回AZEC閣僚会合のポイント
今会合では、日本と開催地のインドネシアの参加閣僚が共同議長を務め、11の国と関係機関の閣僚及び代表が出席し、それぞれの脱炭素化への取組状況について報告がなされた。また、AZECを支援する賢人会議(AZECアドボカシーグループ)から閣僚に対する政策提言書の手交が行われた。さらに、各種関連イベントも開催され、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)内に設立されたアジア・ゼロエミッションセンターの立ち上げ記念式典が挙行され、参加閣僚による記念植樹が行われた。アジア・ゼロエミッションセンターでは今後、電力部門の脱炭素化ロードマップの策定など政策協調に向けた調査分析を行っていく予定だ。さらには、温室効果ガスのネット・ゼロ**を実現するための国際協力プロジェクト約70件のMOU***を確認するMOUセレモニーが行われた。そのほか、AZECアドボカシーグループの会合やパートナー国の企業が参加するAZECビジネスフォーラムも開催された。
おわりに
今会合の成果として①気候変動対策、②経済成長、③エネルギー安全保障の三つの同時実現を目指すこと、各国の事情を踏まえた多様かつ現実的な道筋でカーボンニュートラル/ネット・ゼロを進めていくことというAZECの基本原則を再確認するとともに、今後10年を踏まえた電力・運輸・産業の3分野におけるイニシアティブへの合意を盛り込んだ共同声明が採択された。次回閣僚会合は日本とマレーシアが共同議長となり、2025年に開催予定だ。
会合の詳細と共同声明は経済産業省サイトで確認することができる。
* パートナー国:オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ及びベトナムの11か国。(国名は略称で記載)
** 温室効果ガスの排出を完全になくすことは不可能なため、森林による吸収量やCO2回収技術による除去量とで排出量を相殺し、実質ゼロとするという意味。
*** Memorandum of Understandingの略。契約や条約、協定などが正式に締結される前段階の合意文書、覚書。
第2回AZEC閣僚会合とその関連イベントの開催日時
8月20日 | 8月21日 |
10:00-16:30 AZECを支援する賢人会議(AZECアドボカシーグループ) ラウンドテーブル |
9:10-11:55 AZECビジネスフォーラム 9:30-11:35 第2回AZEC閣僚会合 12:00-12:30 アジア・ゼロエミッションセンター立ち上げ記念式典 12:35-13:20 MOUセレモニー 14:00-14:30 日本・インドネシア・マレーシア共同記者会見 |