VOL.193 JUNE 2024
SUMMER FUN IN JAPAN: SEASIDE FESTIVALS AND EVENTS [知ってほしい日本のカルチャー]私にとっての「着物」、「和の小物」など


桂福龍さんが着物を着る際によく使っている和の小物セット。中でも靴下のような足袋(写真左下)は、締め付け感が少ないのでおすすめだ。
Photo: 桂福龍事務所

南国風のカラフルな手ぬぐいが、桂福龍さんのお気に入り
Photo: 桂福龍事務所

日本に20年以上暮らすカナダ出身の落語家・かつらふくりゅうさん。落語の寄席では着物を着て、扇子や手ぬぐいを小道具として用いながらさまざまな登場人物を演じている。日本の伝統文化に精通する桂福龍さんに着物や和の小物などの魅力を語ってもらった。

落語家にとって「着物」は大切な仕事着です。プロの落語家に弟子入りすると、兄弟子からまずは着物の着方、扱い方などの指導を徹底的に学びます。自分が着るだけでなく、師匠の高価な着物をたたむことも修業中である弟子の仕事。少しでも扱い方を間違えたらものすごく怒られるので、最初の頃は緊張していました。


落語家にとって大切な仕事着であり、日本の伝統的な衣服「着物」。落語家は、一般的な着物(丈が裾まであるなが)の上から紋付の羽織を重ねて着る。
Photo: 桂福龍事務所

着物にはさまざまな柄や素材があり、帯とのコーディネートを楽しめるのが魅力。私の場合はファッションを楽しむ目的で着物に帽子を合わせ、和と洋を織り交ぜたコーディネートを楽しむことがあります。

しかし、多くの外国人にとって着物を着ることは敷居が高いと思います。そこで、和の文化に手軽に触れたいというかたにおすすめなのが浴衣ゆかたです。浴衣とは夏の時期やお風呂上がりに着る木綿の着物のこと。旅館に泊まったときに、見たことがある人もいるかもしれません。浴衣は軽くて簡単に着られるので、日本らしいおみやげを求めているかたにはぴったりだと思います。浴衣を着るなら、足元はぜひ靴下ではなく「足袋たび」を合わせてみてください。靴下だと正座をしたときに窮屈さを感じるのですが、足袋は締め付け感がなく快適です。

和小物で私がおもしろいと思うのが、落語の小道具としてもよく使う「手ぬぐい」です。木綿でつくられたタオルのような長い布で、落語では手ぬぐいを手紙や財布などに見立てることがあります。ただ、日常生活では手や汗を拭くときや、小物を包んだりするときなどに用います。実用性もさることながら、カラフルで幅広いデザインで描かれているのが手ぬぐいの魅力。日本の伝統を感じられるだけでなくアートとしても楽しめるので、こちらも、おみやげとして喜ばれるのではないでしょうか。私が愛用しているのは南国風のデザインの手ぬぐいです。私はカナダのウィニペグという寒い地域で生まれ育ったので、沖縄のような温かい地域の文化に心ひかれてしまうのです。

同じ理由で、沖縄の夏の正装としても定着している「かりゆしウェア」も好きです。いわば、沖縄版のアロハシャツです。着るとリラックスできますし、デザインも多種多様で魅力的なので、日本に来てからずっと集めています。日常使いもしやすく、おすすめです。

和の小物がテーマということで、最後に落語で使う道具についても紹介したいと思います。関西圏*が発祥の上方かみがた落語らくごでは、正座した落語家の前に置く小さな机を「見台けんだい」、ひざを隠す位置に置く板を「ひざかくし」と呼び、これらは落語家が自前で用意しています。私は折りたためるものを特別に格安でつくってもらったのですが、どうやら普通に職人に注文すると製作費がとても高いと最近知りました。大変貴重なものなので、今後も大切に使い続けるつもりです。

桂福龍さんが落語の公演で使っている、小さな机(見台)とひざを隠す位置に置く板(膝隠し)。珍しい折り畳み式で、細部に日本の職人の美意識が宿る。
Photo: 桂福龍事務所

和の小物には日本の伝統が凝縮されています。背景にある意味や歴史も一緒に学ぶと、より深く魅力を感じることができると思います。

桂福龍
カナダ出身の落語家。2016年10月にかつらふくだん一門に入門し、11番目の弟子となる。関西*を拠点に日本各地の寄席に出演。落語**の魅力を世界に発信したいという想いのもと、米国のラスベガスやサンフランシス、ハワイのほか、カナダ、フィリピンなどでも公演している。
検索 桂福龍

* 関西:おおむね京都、大阪、神戸とその近隣の県を合わせた地域
** 落語:400年以上前に生まれた日本の伝統話芸。詳しくは「HIGHLIGHTING Japan」2024年5月号参照。


by KATSURA Fukuryu
Photo: Katsura Fukuryu Office

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