VOL.192 MAY 2024
JAPAN’S HEALING FORESTS (PART 1) [私が伝えたい日本(日本人インフルエンサー)]季節を運ぶアート:和菓子

かいいさん
京都在住で、身近な日本文化を日々、英語で発信するクリエイターKaaisan。今月号は、Kaaisanが和菓子について語ります。

和菓子とは日本で古くから作られるお菓子の総称で、豆や米など植物性の素材を多く使うのが特徴です。季節によって和菓子は移ろい、ハロウィーン衣裳のように特定の時期にのみ顔を出すものもあれば、クリスマスコフレ*のように見た目で季節の装いを見せるものもあります。どんなに好きな季節も時間がくれば巡っていくように、和菓子も手に入る時期が決まっている点がいじらしく、そして楽しいものです。そんな和菓子と、日本の一年を旅してみましょう。

春の和菓子

植物の芽吹きを連想させる淡い色のお菓子が多い春。代表例である桜餅には関西風と関東風**の二派があります。粒を残した小豆(あずき)のあんを薄いピンク色の餅***で包んだものを、桜の葉っぱで巻いているものが関西風の桜餅。関東ではあんをクレープ状の生地で巻き、そこに桜の葉を用います。桜餅は人気の和菓子なので、コンビニやスーパーでは春以外でも買えることがあります。


桜餅は春を代表する和菓子(関東風)

夏の和菓子

蒸し暑い日本の夏には、寒天や葛を用いたつるんとしたお菓子が人気です。水無月(みなづき)と呼ばれる和菓子は、氷を模したゼリー食感の土台の上に小豆がのっています。日本では赤は邪気を払う色とされ、水無月の上にのる小豆も邪気を払ってくれるという願いのもと、無病息災の祈りが込められています。


無病息災の祈りが込められた水無月(みなづき)

秋の和菓子

栗や芋のシーズンである秋には、これらを使った栗きんとんや芋羊羹などが登場します。一方で練きりと呼ばれるジャンル****の和菓子は、白いんげんを使った白あんと砂糖が基本の素材で年中作られますが、デザインやモチーフで季節感を表現します。秋には紅葉やかぼちゃなどがモチーフになります。


見た目で季節を表す練きりを使った和菓子(トッピングはカボチャ・リンゴ・イチョウの葉を表現) Photo: Kaaisan

冬の和菓子

関西の一般家庭で冬に人気な和菓子がぜんざいです。小豆を砂糖で煮た中に餅を入れたぜんざいは、温まりながら楽しめる冬の味覚です。また、京都を中心に新年に食べられる花びら餅は味噌あんとごぼうを包んだ餅のお菓子です。10世紀頃から行われてきた、堅いものを食べることで長寿を願う習慣(歯固め*****)にルーツがあるとされています。


京都を中心に古くから食べられている花びら餅(右)と抹茶(左)
Photo: Kaaisan

人気の和菓子はスーパーやコンビニエンスストアで一年中手に入るものもありますが、本物の和菓子の世界を体験したければ、専門店がおすすめです。日本の諺(ことわざ)でも、それぞれの分野のプロに任せるのが一番だということを、和菓子の素材の一種餅を使って「餅は餅屋」と表現します。背景やモチーフを知って、和菓子をもっと楽しく美味しく味わってみてください。

Kaaisan
日本について英語で紹介するショート動画を作るクリエイター。日本文化や世界に関心を持つ仲間同士が出会い、共に学べる場所を提供するために、オンラインコミュニティを運営するほか、不定期でイベントを企画・開催している。
kaaisan

* クリスマスシーズンに合わせて各ブランドから発売される、限定のコスメセット
** 関東:おおむね、東京都と近隣の県とを合わせた広い地域。関西:おおむね京都、大阪、神戸とその近隣の県を合わせた地域
*** 関西風は、米の一種であるもち米を蒸して乾燥させ、目のあらい石臼ですりつぶした「道明寺粉(どうみょうじこ)」でつくる。なお、関東風は、主に小麦粉と白玉粉をクレープ状した生地になる。
**** 練きりは、和菓子のジャンルを表すほか、白あんをベースにつなぎを加えて練った、和菓子の素材そのものを指す場合もある。
***** 生後100日頃、赤ちゃんの健やかな成長を願って「お食い初めの祝い」を行う。赤ちゃんに一通り料理を食べさせる真似をした後に行うのが「歯固めの儀式。石のように丈夫な歯が生え、長生きすることを願って、箸で歯固めの石に触れ、その箸で赤ちゃんのはぐきを優しく触る。(「HIGHLIGHTING Japan」2023年5月号参照


By Kaaisan
Photo: Kaaisan; PIXTA

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