VOL.193 JUNE 2024
SUMMER FUN IN JAPAN: SEASIDE FESTIVALS AND EVENTS
[政策お知らせ]海外製品や子供用の製品を販売する事業者への新規制がスタート ―さらなる製品安全を目指してー
![ECサイトの倉庫](/en/assets/hj_2024_06_08_01.jpg)
近年、オンラインショップなどのインターネット上で取引を行うECサイトの市場規模は拡大の一途を辿っており、複数のオンラインショップが集まるWebサイトであるオンラインモールを通じて消費者が直接海外事業者から商品を購入するケースも増加している。一方で安全性が十分でない海外製品による事故が増加している。このような背景を踏まえて、経済産業省では、消費生活用製品安全法(略称:消安法)などの製品安全4法*の一部改正により海外製品の安全性確保を目的に、海外事業者に対して、日本国内に法的責任者を設けることなどを含めた新規制をスタートさせる予定だ。改正法は2025年末までに施行される。
拡大するEC市場、責任の所在を明らかに
パソコンやスマートフォンの普及により、多くの消費者にとってインターネットを利用した通信販売が非常に身近なものとなった。新型コロナウィルス感染症拡大の影響もあり、2022年のBtoC-EC市場**の規模は14兆円に迫った。この数字は10年前の実に2倍以上で、物販の分野でのEC化率***も2013年の3.85%から2022年は9.13%と非常に大きな伸びを見せている****。海外事業者と消費者との取引の間に輸入事業者や販売事業者を介する従来の方法に加え、オンラインモールのような取引デジタルプラットホーム(以下:取引DPF)を通じて海外事業者が消費者に直接商品を販売するという新しいビジネスモデルも誕生し、低コスト化や手軽さなどから今後ますますの利用拡大が見込まれるだろう。しかしながら、こうした海外事業者は日本に事業所をもたないものも多く、製品の安全性に対する法的な責任の所在があいまいになっていた。そこで今回、①海外事業者が取引DPFなどで消費者に直接製品を販売する場合には、海外事業者を法的な責任主体として明確化し、国内における責任者(国内管理人)を置くことを求めること、②取引DPF提供者に安全性確保にかかる条件を満たさない製品の出品削除の要請を可能にすること、③届出事業者の氏名や国内管理人の氏名等を公表すること、④法令等に違反した事業者の氏名等を公表すること、などの措置を盛り込んだ製品安全4法の一部改正が行われることとなった。
これにより、消費者のより安全な製品使用環境が推進されることが期待される。
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近年の輸入ビジネスモデル
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図の出典:経済産業省
* 危害発生のおそれがある製品を指定し、製造輸入事業者に対して国が定めた技術基準への適合等を義務付ける、「消費生活用製品安全法」、「電気用品安全法」、「ガス事業法」、「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」の4法。
** Business to Consumaer 企業と消費者がやりとりをするインターネット上の取引市場
*** すべての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合
**** 市場規模は、公知情報調査、業界団体及び事業者ヒアリング調査に基づく値。出典:経済産業省令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)
子供用の製品についても規制を創設
消安法の改正ではおもちゃ等の子供用の製品についても、より安全性を確保するための規制を創設する。これまでの日本のおもちゃの安全性規制は一部の指定製品に対してのみであり、諸外国で販売が禁止されたものであっても、国内での流通を阻止する手立てがなかった。しかし今回の法改正では、規制の対象として「子供用特定製品」のカテゴリを創設し、別途政令で定める製品に対して、その製造・輸入事業者に対し、国が定める技術基準に適合している旨の表示、対象年齢、使用上の注意などの警告表示を付すことが義務化される。この表示義務を果たしていない製品については販売ができなくなるが、パッケージがなく表示の確認ができない中古品については、販売事業者による安全確保のための体制整備などを条件に販売を可能とする特例が設けられる予定だ。なお、改正法施行前に製造・輸入された「子供用特定製品」については期限を設けず販売を可能とする予定である。
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Photo: 国民生活センター
今回の法改正についての詳細は下記URLへ
» https://www.meti.go.jp/english/policy/economy/consumer/index.html
※法令上の表記に基づき、本記事では「子供」の表記で統一
Photo: National Consumer Affairs Center of Japan; PIXTA