VOL.193 JUNE 2024
SUMMER FUN IN JAPAN: SEASIDE FESTIVALS AND EVENTS 宮津湾一面に火がともる「宮津燈籠流し花火大会」


海面を彩る燈籠の灯火と色鮮やかに打ち上がる花火。
Photo: 宮津商工会議所

京都府宮津市で毎年8月16日に開かれる「宮津みやづ燈籠とうろうながし花火大会」。この日の夜、宮津みやづ湾は燈籠とうろうながしの幻想的な光景に包まれたあと、盛大な花火大会でクライマックスを迎える。担当者に話を聴いた。

京都府北部に位置する宮津みやづ市は日本海の宮津みやづ湾に面した海辺の町だ。宮津みやづ湾内には日本三景の一つである天橋立あまのはしだて*があり、風光明媚な地として知られている。ここ宮津みやづ湾で、毎年8月16日に盛大な火の祭典、「宮津みやづ燈籠とうろうながし花火大会」が行われている。宮津みやづ商工会議所のみなと 七夏ななかさんに話を聴いた。


京都府の日本海側に面した天橋立あまのはしだて。美しい松林と砂浜が特徴だ。

宮津みやづ燈籠とうろうながしは、もともとはお盆**に迎えた先祖の霊を送り出すために、ささやかなともしびを供物に添えて海へ流したのが始まりとされる、約400年続く伝統行事です。この燈籠とうろうながしに花火大会が催事として加わったのはちょうど100年前。1924年当時に鉄道開通を祝して花火大会を開催することになり、今に続きます。新型コロナウイルス感染症の影響などでここ数年取りやめられたのですが、2023年に4年ぶりに実施され、約75,000人の人出がありました」

宮津みやづ燈籠とうろうながしは、色とりどりに飾られた「精霊船せいれいせん」と呼ぶ船形の燈籠とうろうと、箱型の紅白で彩られた燈籠とうろうをともに流すことに特徴がある(写真参照)。精霊船せいれいせんは、家族が亡くなって初めてのお盆を迎える家が用意し、華やかに飾りつける。火を灯した船を流すことで先祖の魂を極楽浄土へと送るとされている。また、箱型の燈籠とうろうはその後を追うように流されることから、「追っ掛け燈籠とうろう」とも呼ばれている。


2023年は33雙の精霊船せいれいせんが流された。海上で火がともされる。

「まだ空が明るい午後7時に精霊船せいれいせん、その後に火が灯された燈籠とうろうを海に流します。日が暮れる頃には約1万個の紅白の燈籠とうろう宮津みやづ湾の海上一面にゆらめき、海上で火を灯された精霊船せいれいせんも、波のゆれなどの影響で船体に火が移って徐々に燃えてゆきます。そのころ、夜空には、約3000発の多種多様な打ち上げ花火や一斉打ち上げ花火がはじけ、花火大会のクライマックスを迎えます」。


精霊船せいれいせんも紅白の燈籠とうろうも波にゆられ、流されながら徐々に火があがり燃えていく。

「紅白の燈籠とうろうは地元のかた達の手によって、毎年作り続けられています。宮津みやづ燈籠とうろうながし花火大会はこれからも、地域全体で大切に伝統を守り、続けていきたい大切なイベントです」と湊さんは話す。

昼は天橋立あまのはしだてを訪れ、また夜は、年に一度、夏の夜に見せる地元の人々の祈りのこもった情緒あふれる光が織りなす海の光景、そして、締めくくりは盛大な花火が宮津みやづ湾の夜空いっぱいに打ち上がる。きっとここでしか味わうことのできない贅沢な1日が過ごせるはずだ。機会があれば、ぜひ宮津みやづを訪れてみてほしい。


打ち上がる花火のもと、海面を彩る燈籠とうろうの灯火
Photo: 宮津商工会議所

* いわゆる「日本三景」の一つ。幅は約20から170m、全長約3.6kmの砂地に約6700本もの松が生い茂る。その様子が天にかかる橋に見えることから「天橋立あまのはしだて」と名がついた。
** 亡くなった先祖の魂が定期的に現世に戻ってきて、また送り返すという日本の民間信仰で、その風習が各地に根付いている。


By TANAKA Nozomi
Photo: The Miyazu Chamber of Commerce and Industry ; PIXTA

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