VOL.195 AUGUST 2024
EXPLORE THE UNIQUE CHARM OF MANGA IN JAPAN 京都にあるマンガの総合文化施設「京都国際マンガミュージアム」


元小学校校舎をリノベーション。校庭だった場所は芝を敷き、そこでも読書が可能だ。
Photo: 京都国際マンガミュージアム

2階が常設展示会場。マンガの歴史や世界のマンガなどの展示がある。
Photo: 京都国際マンガミュージアム

日本初のマンガの総合文化施設として、2006年、京都市に開館したのが「京都国際マンガミュージアム」だ。国内外のマンガ単行本のみならずマンガの研究書など約30万点のマンガに関する資料を有する。年間約30万人もの入場者があり、その1割が海外からだ。ミュージアムの担当者に施設の概要を紹介してもらった。

京都市の中心部、地下鉄の烏丸からすま御池おいけ駅からすぐの場所に「京都国際マンガミュージアム」がある。京都きょうと精華せいか大学と京都市との共同事業で2006年に設立された。設立のきっかけは、京都きょうと精華せいか大学からの京都市への働きかけだ。日本で唯一のマンガ学部がある京都きょうと精華せいか大学がマンガに関する貴重な資料を保管し、さらに活用していくためにと、京都市にマンガ図書館の構想を持ちかけたという。当初、個人コレクタ―や貸本屋を営んでいた書店などからの寄贈を中心とした国内外の資料約20万点が集まって開館したが、その後も拡充し、現在は約30万点の資料を所蔵するに至った。京都国際マンガミュージアムで広報を担当する中村なかむら 浩子ひろこさんにこの施設の特徴を聴いた。

「当館は、マンガ研究の知見をベースに、マンガの歴史や産業を紹介する常設展示や企画展の開催を行う博物館的機能と、マンガを自由に手に取り、読むことができる図書館的機能をあわせ持つ文化施設です。当館では、マンガの展示を見たり、マンガ作品を読んだりするだけでなく、マンガの見方や楽しみ方を広げていただけるようなワークショップやイベントも開催しています。来館者は、マンガファンやマンガ文化をよく知りたいという国内外からお越しいただく方々で、ご自身の好きなマンガの話や、疑問について率直にお話しくださいます。作品の翻訳語版は、国によってタイトルやキャラクター名が変わることもあるので、どの作品の話かクイズを出題されたように、スタッフで答えを見つけ出そうとしたこともあります。マンガに対する熱い思いは世界共通ですね。英語対応できるスタッフもいるので、直接お話しもしますし、時にはマンガのように絵会話になることもあります」と中村さん。

日本のマンガが描き上がるまでのプロセスが実演されるコーナー。
Photo: 京都国際マンガミュージアム

このマンガミュージアムは、約100年前に建てられた古い小学校の校舎を改修して利用しているのも特徴の一つだ。3階建てで、2階にメインギャラリーといくつかのギャラリーがあり、常設展示、企画展示が行われる。常設展示は「マンガって何?」という疑問に答える、マンガの歴史や産業の成り立ちを解説している。展示解説は英語でも解説文がついている。そして、レトロな元校舎に、約5万冊のマンガ単行本(1970年代から2005年くらいまでの作品)が、1階から3階の壁沿いの本棚にぎっしりと並んでおり“マンガの壁”と呼ばれている。


“マンガの壁”と呼ばれる、壁一面に設置されたマンガの書棚。
Photo: 京都国際マンガミュージアム

また、海外からの来館者にもなじみやすい“マンガ万博”と呼ばれるコーナーがある。「英語を始め、ドイツ語、フランス語、タイ語、中国語に翻訳された日本マンガや、フランスを中心に発行されているバンド・デシネ*、スペイン、韓国のマンガなど世界で出版されているコミックスが集められたコーナーです」。


“マンガ万博”と称して、各国のマンガや各国語に翻訳された日本のマンガなどを実際に読むことができる。
Photo: 京都国際マンガミュージアム

そこで好きなマンガを選び、昔、校庭だった広い芝生の庭で自由に読めるのが最大の特徴だ。「海外から京都にお越しの際は当館にもお寄りいただき、多彩なマンガ文化やマンガ作品、マンガ家さんを知っていただければうれしいです。」と中村さんは語った。


マンガ家さんに自分の似顔絵を描いてもらうコーナーの様子。海外からの観光客は「自分へのおみやげ」にと喜んでもらえるという。
Photo: 京都国際マンガミュージアム

* フランス語圏で発行されたマンガのこと。大判でハードカバー、フルカラーで印刷されたものが多い。


By TANAKA Nozomi
Photo: Kyoto International Manga Museum

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