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January 2023

富士山の持つ圧倒的な神秘性を撮る写真家

  • 雲海上の富士山
  • 雪の山稜越しの富士山
  • Blue Inkシリーズの富士山
  • 富士山を背景とした山中湖の白鳥
雲海上の富士山

写真家のTAKASHIさんは、2011年に幻想的な富士山と出会って以来、富士山の圧倒的な神秘性を撮り続けている。その作品は国内外で高い評価を得ている。

雪の山稜越しの富士山

春、新倉山浅間(あらくらやませんげん)公園(参照)の桜と五重塔の向こうにそびえる雄大な富士山の写真が、2018年のNational Geographic『Traveler』の春号の表紙に選ばれ、世界中で大きな反響を集めた。その風景を捉えたのは、富士山に魅せられた写真家のTAKASHIさんだ。

TAKASHIさんが富士山の撮影を始めたのは2011年のこと。その時、彼は幻想的な瞬間に出会う。あたり一面が真っ白な雲海に包まれた山中湖畔。夜が明け始めると、次第に霧が晴れた。そして、富士山が姿をあらわし始めると、朝日を浴びて湖面を泳ぐ1羽の白鳥が見えたのだ。その光景との邂逅以来、TAKASHIさんは富士山だけを撮り続け、多い年には40回から50回、景色の良いスポットを求めて足を運び、これまでに40万枚にも及ぶ写真を撮り続けている。

Blue Inkシリーズの富士山

「富士山は3000メートルを超える独立峰で、どの方角からも、その美しい姿を見ることができます。『Traveler』表紙の写真を撮った新倉山浅間公園の他、河口湖を見下ろすFUJIYAMAツインテラスなども、気象条件により様々な富士山の絶景が見られるおすすめの場所です」とTAKASHIさんは言う。

TAKASHIさんによる富士山の写真は、これまでNational Geographic発行の写真集 「Greatest Landscapes」に掲載されるなど、国際的にも広く知られている。さらに近年、TAKASHIさんは、こうした代表的な自然風景写真とは一線を画すアートワークにも力を注いでいる。「Blue Ink」と称するシリーズでは、富士山以外の余計なモチーフを最小限まで削ぎ落す、あるいは富士山の魅力の一つである豊かな色彩さえも封印して、ひたすらシンプルに富士山の姿に迫ろうとしている(写真参照)。「富士山は、普段見えていないものを表現しようという、作家の意欲をかき立ててくれる山」とTAKASHIさん。捉えにくいものを表現しようとするからこそ、TAKASHIさんは、撮影現場で出会う一瞬一瞬の実景を大切に積み重ねているようにも思える。

富士山を背景とした山中湖の白鳥

「Blue Ink」シリーズを始めとする彼の多彩な作品は、国内外の写真コンテストで多数の賞を獲得した他、海外の大手企業やファッション誌などからも引き合いがあるなど、高い評価を得ている。それらの作品から、富士山の持つ圧倒的な神秘性が、観る者に伝わるだろう。