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January 2023

世界に知られるようになった富士山の眺め

  • 新倉山浅間公園の展望デッキから、桜と五重塔(右)越しに眺める春の富士山
  • 展望デッキからの冬の眺め
  • 展望デッキからの秋の眺め
  • 新倉山浅間公園の展望デッキからの眺めが掲載されたNational Geographic『Traveler』の表紙
新倉山浅間公園の展望デッキから、桜と五重塔(右)越しに眺める春の富士山

山梨県富士吉田市の新倉山浅間公園(あらくらやませんげんこうえん)の展望デッキから臨む優美な富士山の眺めが、最近、世界に知られるようになった。

展望デッキからの冬の眺め

富士山北麓の街、富士吉田市には、富士山が美しく見えるスポットが多くある。中でも、最近、人気が高いのが、富士急行線「下吉田駅」からアクセスしやすい新倉山浅間公園の展望デッキからの眺めだ。

この公園は新倉山の中腹に位置し、麓にある新倉富士浅間神社の神域となっている。展望デッキへは、398段もの石段を登らなければならない。冬でも汗ばむほどだ。しかし、展望デッキからの眺めは、絶景であり、長い階段を登るだけの価値がある。階段を登りたくない、あるいは、登れない方のために、スロープ道も併設されている。

展望デッキからの秋の眺め

そして、その眺めは、春には、園内の桜の木・約650本が咲き誇る中、白壁に朱の柱が印象的な五重塔*越しに、左右対照に裾野を広げる均整のとれた富士山の姿が浮かび上がる。山頂に雪が残る春の富士山はひときわ美しい。海外からの観光客に、富士山と、京都のような日本らしい風物が一緒に見られる眺めとして人気が高い。

かつて、この場所から眺める富士山は、地元の人以外は知る人の少ない風景だったが、2015年の『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン(改定第4版)』や、2018年のNational Geographic『Traveler』の表紙(撮影:TAKASHI (参照))を飾ったことで、一気に世界に知られることとなった。同公園で「桜まつり」が始まった2016年頃から観光客が増え、コロナ禍直前の2019年の春には、展望デッキまで1時間待ちの行列ができたという。2022年2月には展望デッキが整備され、塔に向かって左右両側から富士山を広く臨めるようになり、さらに魅力が増している。

新倉山浅間公園の展望デッキからの眺めが掲載されたNational Geographic『Traveler』の表紙

「桜が咲く春もいいですが、秋には紅葉、冬には雪景色と、四季折々の美しさがあります。時間による太陽の照り具合や天候、雲のかかり方でも景色は変わります。また『日本の夜景100選』に選ばれるなど、オールシーズン、オールタイムが見どころで、二度と同じ風景は見られません」と、ふじよしだ観光振興サービスの宮下貴史(みやした たかし)さんは言う。

宮下さんは、世界に知られるようになった、この絶景スポットを、国内外の多くの人たちに堪能してもらいたいと願っている。

  • * 戦争で亡くなった人たちを慰霊する「忠霊塔」として、1962年に建てられた