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February 2021

日本の高齢社会対策

日本では、急速な高齢化が進む中、日本政府は、「全ての年代の人々が希望に応じて意欲・能力をいかして活躍できるエイジレス社会」の構築を目指して、様々な取組を進めている。

日本の平均寿命は第二次世界大戦後に延び続け、世界有数の長寿国となっている。2018年現在、男性は81.25年、女性が87.32年で、2065年には男性が84.95年、女性は91.35年になると予想されている。65歳以上が人口に占める割合(高齢化率)も増え続け、世界で最も高い水準にある。高齢化率は2019年現在で28.4%、2036年には33.3%、2065年には38.4%に達すると予想されている。

日本の高齢化が進む中、2018年2月に政府は、政府の高齢社会対策の中長期にわたる基本的かつ総合的な指針となる「高齢社会対策大綱」を閣議決定した。同大綱では、日本の高齢者が、「体力的年齢が若くなって」おり、「社会との関わりを持つことへの意欲も高い」ということを踏まえ、「65歳以上を一律に『高齢者』と見る一般的な傾向は、現状に照らせばもはや、現実的なものではなくなりつつある。70歳やそれ以降でも、個々人の意欲・能力に応じた力を発揮できる時代が到来しており、『高齢者を支える』発想とともに、意欲ある高齢者の能力発揮を可能にする社会環境を整えることが必要である」とした。

そして、高齢社会対策の基本的な考え方として次の3点を掲げている。

(1)年齢による画一化を見直し、全ての年代の人々が希望に応じて意欲・能力をいかして活躍できるエイジレス社会を目指す。

(2)地域における生活基盤を整備し、人生のどの段階でも高齢期の暮らしを具体的に描ける地域コミュニティを作る。

(3)技術革新の成果が可能にする新しい高齢社会対策を志向する。

これらの基本的な考えを踏まえ、大綱は6つの分野で基本的施策に関する中期にわたる指針を次のように定めている。

(1) 就業・所得:エイジレスに働ける社会の実現に向けた環境整備、公的年金制度の安定的運営、資産形成等の支援

(2) 健康・福祉:健康づくりの総合的推進、持続可能な介護保険制度の運営、介護サービスの充実(介護離職ゼロの実現)、持続可能な高齢者医療制度の運営、認知症高齢者支援施策の推進、人生の最終段階における医療の在り方、住民等を中心とした地域の支え合いの仕組み作りの促進

(3) 学習・社会参加:学習活動の促進、社会参加活動の促進

(4) 生活環境:豊かで安定した住生活の確保、高齢社会に適したまちづくりの総合的推進、交通安全の確保と犯罪、災害等からの保護、成年後見制度の利用促進

(5) 研究開発・国際社会への貢献等:先進技術の活用及び高齢者向け市場の活性化、研究開発等の推進と基盤整備、諸外国との知見や課題の共有

(6) 全ての世代の活躍推進:全ての世代の人々が高齢社会での役割を担いながら、積極的に参画する社会を構築するための施策の推進

日本政府は、上記指針の各分野において多様な施策を実施している。

より具体的には、「就業・所得」分野では、高齢者の就業機会を拡大させるために、70歳までの就業確保を事業主の努力義務とする内容等を含む法改正を行うとともに、高齢者の雇用や定年を延長する企業に対する支援を行っている。

「健康・福祉」分野では、地域住民が住み慣れた地域で介護サービスを継続的・一体的に受けることができる体制を実現するために、介護関連のサービスの充実や人材育成が図られている。また、2019年に政府は、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指す「認知症施策推進大綱」を認知症施策推進関係閣僚会議において取りまとめた。

「生活環境」分野では、高齢者を含め、誰もがストレスなく、居住や移動ができる環境を実現するために、住宅、公共交通、公共施設のバリアフリー化を支援している。

「研究開発・国際社会への貢献等」分野では、アジアとアフリカにおいて介護に関する産業の振興や人材の育成、疾病の予防などの取組を推進する「アジア健康構想」及び「アフリカ健康構想」の下、2019年にはフィリピン、ベトナム、ウガンダ、セネガル、タンザニア、ガーナ、ザンビアとの間で、ヘルスケア分野における協力覚書を交換した。

高齢社会対策大綱の基本的考え方にある「エイジレス社会」の実現は、このような政府の施策実施とともに、個別の企業や国民の意識の持ち方が重要である。また、雇用形態にこだわらない様々な高齢者の社会参加活動の促進を通じて、多様な「支え合い」の場を創出し、社会の支え手としての活躍の形態を広げていくことも必要であり、今後の重要な課題である。

注記: 本記事は内閣府の了解の上、同府の公表資料に基づき作成している。

高齢化の推移と将来推計
出典:令和2年版高齢社会白書(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/zenbun/s1_1_1.html
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(収入のある仕事をしている60歳以上の人の回答)
出典:令和2年版高齢社会白書