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  • 岡田さんによれば「居合道の稽古の集大成」である、「空中りんご切り」の実演
  • 外国人観光客向けに京都ツアーを行う岡田さん
  • ジョー岡田さん、またの名を「ラストサムライ」
  • 外国人観光客向けに京都ツアーを行う岡田さん

February 2021

京都の「ラストサムライ」

ジョー岡田さん、またの名を「ラストサムライ」

外国人観光客から人気を博す、日本では現役最高年齢という92歳の全国通訳案内士、ジョー岡田さんの魅力に迫る。

岡田さんによれば「居合道の稽古の集大成」である、「空中りんご切り」の実演

今年92歳を迎えてなお、現役で外国人向けに京都の町の定期ガイドや広島、箱根、東京への団体ガイド等をしているジョー岡田さん。長い髪を頭頂部でひと結びにしたちょんまげ風ヘアと紋付羽織・袴(はかま)の出で立ちがトレードマークであり、その姿から「ラストサムライ」とも呼ばれている。流暢な英語でユーモアを織り交ぜながら、京都の町を案内する。ツアーガイド歴は58年になる。

新型コロナウイルス感染症の影響前の昨年2020年始めまでは、毎週土曜日に、「Cool Kyoto Walking Tour」を開催し京都御所を訪れていた。ツアーは、京都の中心街を散策しながら、京都ならではの文化体験や交流をメインにしてツアーを組み、外国人観光客から人気を博す。例えば、書道の道具を扱う店では、ツアー客に筆を使って半紙に自分の名前をカタカナで書いてもらったり、庶民の台所と言われる地元の商店街では、京都の家庭の日常の味を試食してもらったりする。京都の代表的食材の一つである豆腐を試食した後には、「京都の豆腐は美味しいけれど、材料の大豆はそのほとんどをアメリカなど海外から輸入しているんですよ」など、とちょっとした日本事情やエピソードを挟み込む。

第二次世界大戦の終戦時、岡田さんは中学生。学校では「敵国の言葉」として英語を学ぶことはできなかった。卒業後、多くの外国人が日本を訪れるようになった時、彼らが乗るタクシーの運転手となり、車内で交わされる言葉をメモしながら英語を覚えていったのだと言う。そうした中、1週間、通しで案内した米国人の実業家に気に入られて渡米のチャンスを手に入れた。旅費を援助してもらい、たどり着いたアメリカで約9ヶ月の間、昼は彼の運転手をし、夜間は大学の教室を借りて開かれていた外国人向けの語学学校に通った。

「僕ほど学歴の低い通訳案内士はいないでしょう」と笑う岡田さんだが、手に入れたチャンスを幸運への道と考え、努力を惜しまず勉強した。

外国人観光客向けに京都ツアーを行う岡田さん

そして、日本に帰った岡田さんは、難関の国家試験「通訳案内士」に何度か挑戦して合格を果たし、「これを天職」と定めた。

その後、岡田さんは京都の伏見桃山城で、13年間1700回もの「サムライ日本ショー」を主催し、13万人を集客している。これは天守閣を貸し切り、外国観光客に空手、忍者、お茶、お花、歌舞伎などの師匠が日本文化を披露するショーである。日本の民家と農家を訪問するツアー「Home Visit Tour」も20年間で12万人の観光客が参加している。

しかし、2020年、世界を襲ったコロナ禍で外国人観光客は途絶えてしまった。

岡田さんは「昨年2020年は、コロナで仕事がほぼゼロになりました。でもね、これまでにも似たようなことはあったんです。最初は急激な円高が進んだ1990年代、外国人客がパッタリと来なくなってしまった時。2回目は2011年の東日本大震災の後。今回は過去二度の経験を上回る未曾有(みぞう)の事態だけれども、人類は、コロナウイルスに打ち勝つと思いますから、必ずや乗り越えられるでしょう」と力強く笑う。

「まだ4〜5年は仕事を続けたいと思っていますから」

そのバイタリティー、そしてパソコンやネットを使いこなす対応力は年齢というものを感じさせない。90歳を超えてなお、衰えぬパワーはどこから生まれてくるのだろうか。90歳を超えてなお、衰えぬパワーの秘訣を岡田さんは次のように語る。

「そりゃあ、仕事がなくなったら収入がなくなりますから、誰だってどうしたらよいか考えて、できる限りのことを必死でやるでしょう(笑)。だから『体力がなくなったな』とか、自分の衰えに気付く間もないんですよ」

そんな岡田さんがガイドツアーとしていつも心掛けていることがある。それは“今よりもっとより良くなるように”ということ。現状に満足せず、常に相手を思い、相手に喜んでもらうことを自身の最上の喜びとする。この精神が彼をいつまでも若々しく保ち続けているのである。