音声広報CD「明日への声」トラックナンバー4 vol.97(令和6年(2024年)6月発行)

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(イントロダクション:女性ナレーター)

こどもが本当なら享受できたはずの、勉強に励む時間、部活に打ち込む時間、将来に思いを巡らせる時間、友人とのたわいもない時間といった「こどもとしての時間」と引換えに、家事や家族の世話をしているこどもたちがいます。そうした背景を踏まえ、彼らをサポートする国や地方自治体、民間団体の取組が広がっています。それらの取組の事例や、私たち一人ひとりができることについて紹介します。

(本文:Q.女性ナレーター/A.男性ナレーター)

Q1:最近ヤングケアラーという言葉をよく聞きます。ヤングケアラーとはどのような人たちのことでしょうか?

A1:「ヤングケアラー」とは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこどものことです。ヤングケアラーが担っている家事や家族の世話は、お手伝いとしてこどもが行うものとは異なり、その責任や負担が重いものです。それによってこども自身がやりたいことができないなど、学業や友人関係などに影響が出てしまうこともあります。

Q2:ヤングケアラーは具体的にどんなことをしているのでしょうか?

A2:ヤングケアラーが行っている家事や家族の世話は多岐にわたりますが、一般に多いのは、食事の準備や掃除、洗濯といった家事、見守り、きょうだいの世話、目の離せない家族の励ましなどの感情面のサポートなどです。

Q3:ヤングケアラーは日本にどのくらいいるのでしょうか?

A3:2020年度と2021年度のヤングケアラーの実態調査によると、世話をしている家族が「いる」と回答したのは小学6年生で6.5%、中学2年生で5.7%、全日制高校2年生で4.1%、定時制高校2年生相当で8.5%、通信制高校生で11.0%、大学3年生で6.2%でした。ただし、「お手伝い」として家事や家族の世話を行うこどもが一定数含まれていることも想定され、これらの数値がそのままヤングケアラーの割合を表しているわけではないことに注意が必要です。

Q4:これらのこども達は、家族の世話をどのくらいの頻度でしているのでしょうか?

A4:世話をしている家族が「いる」と回答した人に、その頻度について質問したところ、いずれの年代でも「ほぼ毎日」が最も高く、小学6年生と通信制高校生では半数以上が「ほぼ毎日」世話をしているという結果になっています。

Q5:1日のうち、どれぐらいの時間を世話に費やしているのですか?

A5:世話をしている家族が「いる」と回答した人に、平日1日当たり、世話に費やす時間についても質問したところ、年代ごとにバラつきがありますが、「7時間以上」世話に費やしている人が通信制高校生では24.5%、中学2年生では11.6%という結果になっています。

Q6:ヤングケアラーはどのような問題に直面しているのでしょうか?

A6:ヤングケアラーは、「こどもとしての時間」と引換えに家事や家族の世話をすることで、ヤングケアラー自身のこどもの権利が守られない状態の可能性があります。こどもが家事や家族のケアをすること自体は、悪いことではありません。例えば、家事や家族の世話などを若い頃に担った経験をその後の人生でいかすことができている、と話す元ヤングケアラーがいることも事実です。
しかし、もしもケアに携わるこどもが、自分の時間が取れない、勉強する時間が十分に取れない、ケアについて相談できる人がいなくて孤独を感じる、ストレスを感じる、友人と遊ぶことができない、睡眠が十分に取れないと感じているなどの場合は、問題のある状態の可能性があるといえます。

Q7:ヤングケアラーが直面する問題をどのように解決していけば良いのでしょうか。

A7:ヤングケアラーの中には、孤独やストレスなどを感じながらも、自分がヤングケアラーであることに気付いていなかったり、「家族のことは家族でなんとかしなければ」という思いで頑張るあまり、一人で悩みを抱えてしまったりする人がいます。そのため、ヤングケアラーの声を聞き、一人にしない取組が重要です。

Q8:国や地方自治体ではどのような取組をしていますか?

A8:ヤングケアラーは、家庭内のデリケートな問題であることなどから表面化しにくいといわれます。そのため現在はまず、ヤングケアラーを早期に発見して適切な支援につなげるため、福祉、介護、医療、教育などの関係機関が連携し、専門職やボランティアなどへのヤングケアラーに関する研修の機会の提供、そして地方自治体における現状把握が推進されています。

Q9:早期発見と現状把握の取組が進められているのですね。適切な支援につなぐための取組にはどのようなものがありますか?

A9:例えば京都府では、「京都府ヤングケアラー総合支援センター」を開設しています。平日だけでなく土曜日も相談を受け付け、ヤングケアラー、元ヤングケアラー、ヤングケアラーの家族など誰でも相談できる体制にしています。またヤングケアラーや元ヤングケアラー同士が悩みや経験を共有できる場として「いろはのなかまたち」と呼ばれるオンラインコミュニティーも月に1回開催をしています。ほかにも、福岡県福岡市では「ヤングケアラー相談窓口」を設けているほか、18歳未満のヤングケアラーがいる家庭にヘルパーを派遣し、家事・育児支援などを行う「福岡市ヤングケアラー支援ヘルパー事業」も実施しています。

Q10:様々な相談窓口があるのですね。日常の悩みを気軽に相談できる事例もあるのでしょうか?

A10:はい。埼玉県では、ヤングケアラーが元ヤングケアラーに日常の悩みを相談したり、話を聞いてもらえたりする場所として、LINE(ライン)相談窓口「埼玉県ヤングケアラーチャンネル」を開設しています。対象は埼玉県内のヤングケアラーとその保護者、そして「自分がヤングケアラーなのかどうか分からない」という人など。ケアのこと、家族のこと、学校や進学のことから日常の悩みまで、慣れ親しんだLINEで気軽に、無料で相談ができるため、利用者は増えています。

Q11:地方自治体などの窓口に話すのをためらうヤングケアラーのこどもたちもいると思います。そんなこどもたちが同じ経験をしている同士で相談できる場所はあるのでしょうか?

A11:はい。家族ケアなど同じ経験をしている同士での会話の場として、民間団体によるオンラインコミュニティーやサロンが開催されています。例えば、NPO法人「ふうせんの会」や、一般社団法人ヤングケアラー協会が運営するYancle community(ヤンクルコミュニティー)、一般社団法人ケアラーアクションネットワーク協会などにより定期的にヤングケアラー同士のオンラインでの交流が行われています。こうした取組を通して、ヤングケアラーが「自分は一人じゃない」「誰かに頼ってもいいんだ」と思えるような取組が広がっています。詳細は、政府広報オンラインにおいて紹介しています。「政府広報オンライン ヤングケアラー」で検索してみてください。

(エンディング:女性ナレーター)

ヤングケアラーは、一人ひとり、取り巻く状況、感じていることや悩みごと、支援を必要としているかどうかは、それぞれ違います。まずはヤングケアラーという存在を認知し、一人で悩みを抱え、孤独になりがちなヤングケアラーに周囲の人たちが気付き、寄り添うことが大切だといえます。ヤングケアラーへの支援は広がり始めたばかりです。こどもがこどもらしくいられる社会にするため、私たち一人ひとりがその輪を広げていきましょう。

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