音声広報CD「明日への声」トラックナンバー2 vol.97(令和6年(2024年)6月発行)

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(イントロダクション:女性ナレーター)

2024年7月3日から、新しい一万円札、五千円札、千円札が発行されます。20年ぶりに新しくなるお札では、偽造対策が強化されたほか、お札を識別しやすくするための新たな工夫が施されています。ここでは、新しいお札のデザインや発行の目的のほか、触って分かるお札の特徴などについてご紹介します。

(本文:Q.女性ナレーター/A.男性ナレーター)

Q1:新しいお札が発行されると聞きました。まず、新しいお札のデザインについて教えてください。

A1:新しいお札もこれまでどおりお札の表面には肖像が用いられ、新しい一万円札には「渋沢栄一」、五千円札には「津田梅子」、千円札には「北里柴三郎」が選ばれています。

Q2:新しい紙幣の肖像になった3名はどのような人物なのですか?

A2:新たな産業の育成、女性活躍、科学の発展といった面から日本の近代化をリードし、大きく貢献した方々です。渋沢栄一は生涯に500もの企業の設立に関与したといわれる実業家、津田梅子は最初の女子留学生の一人であり、女子英学塾、現在の津田塾大学を創立した教育家、北里柴三郎は世界で初めて破傷風菌の純粋培養に成功し、私立北里研究所を創立した細菌学者です。

Q3:様々な方面で日本の近代化をリードした人物が今回選ばれたのですね。裏面のデザインはどのようなものですか?

A3:裏面(うらめん)のデザインは、日本を代表する歴史と伝統、美しい自然、文化などから採用されています。新しい一万円札には赤レンガ駅舎として親しまれてきた歴史的建造物である「東京駅丸の内駅舎」、五千円札には古事記や万葉集にも登場し、日本では古くから広く親しまれている「フジ(藤)」の花、千円札には江戸時代の浮世絵師 葛飾北斎の代表作である「富嶽三十六景・神奈川沖浪裏」が選ばれています。

Q4:新しいお札の大きさは変わるのですか?

A4:これまでのお札から大きさに変わりありません。大きさが変わると、ATMなどの現金取扱機器の対応に多くの時間や費用を要することが考えられるため、関係者の負担をできるだけ抑えるためにこれまでのお札と同じ大きさとなっています。

Q5:デザインは変わっても、大きさに変更は無いのですね。今回お札を新しくする目的について教えてください。

A5:偽造対策とユニバーサルデザインの強化が目的です。新しいお札では、より偽造されにくいように新しい偽造防止技術を採用したほか、誰にでも使いやすいお札を目指し様々な工夫が施されています。

Q6:新しい偽造防止技術を採用したとのことですが、これまでのお札からどのような点が改良されたのですか?

A6:新しいお札では、主に「すき入れ」と「ホログラム」が改良されました。「すき入れ」は「すかし」ともいわれますが、お札を光にかざすと肖像などが浮かび上がる技術です。これまでのお札のすき入れは肖像のみですが、新しいお札では肖像の背景に小さな菱形の模様が連続的に入っています。この菱形の模様は「高精細すき入れ」といい、とても細かい線で構成されているため偽造をより困難なものにします。

Q7:ホログラムとはどのようなものですか?

A7:「ホログラム」はこれまでの一万円札と五千円札にも採用している偽造防止技術で、表面の左下に貼ってあります。このホログラムには金属光沢があり、角度を変えることで違った模様が見える技術ですが、もし、コピー機やプリンターなどでお札を印刷した場合、このホログラムの特性が失われるため、偽造防止に有効です。新しいお札では、立体的な肖像が左右に回転するデザインの「3Dホログラム」を採用し、一万円札、五千円札、千円札の3種類全てに貼ってあります。

Q8:偽造防止のために様々な最新技術が用いられているのですね。ユニバーサルデザインの強化については、どのような工夫がなされたのでしょうか?

A8:新しいお札では、識別マークの配置や形を変更しています。識別マークとは、指で触ってお札の違いを識別できるよう、インキを高く盛り上げる特殊な印刷方法によりお札の表面にざらつきを作っているものです。これまではお札の種類ごとに異なる形をしていましたが、新しいお札では、11本の斜線に統一しました。その上で、これまではどのお札でも表面(おもてめん)の左下と右下に配置していたものを、新しいお札では種類ごとに配置を変えることで、識別しやすいように変更しています。

Q9:それぞれどの位置に11本の識別マークが配置されているのでしょうか?

A9:具体的には、お札を横長に持ったとき、新しい一万円札では11本の斜線の識別マークがお札の左右の中央にあります。五千円札は上下の中央付近にありますが、お札はよく二つ折りされるので、折ったことで識別マークが分かりにくくならないよう、上にある識別マークは少し右に、下にある識別マークは少し左にずらしています。千円札は右上と左下の対角上にあります。つまり、五千円札は上下に、そのほかは左右に識別マークがあることになります。

Q10:識別マークのほかに触ってお札の違いが分かるポイントはありますか?

A10:偽造防止技術でもお伝えした「すき入れ」と「ホログラム」がポイントです。まず、すき入れですが、これまではどのお札でも中央にすき入れがありましたが、新しいお札では五千円札のすき入れを表面からみて左側に位置を変更しました。一万円札と千円札のすき入れはこれまでと同じ中央です。すき入れの部分は印刷がないため、触ると紙本来の感触があります。面積も大きいので、この感触の違いが判別ポイントの一つになると思います。

Q11:ホログラムを触った際に、違いが分かるポイントは何でしょうか?

A11:ホログラムは、触るとつるつるしていますので、これが識別のポイントになります。新しいお札ではホログラムのデザインだけでなく形状も変更しています。新しい一万円札と五千円札では、お札を横長に持ったとき、上から下までつながるように幅12mmの細長いホログラムが貼ってあります。これまでのお札と比べて触って分かりやすいと思います。一万円札と五千円札のどちらもお札の表面(おもてめん)左側にホログラムがありますが、一万円札はより左寄りに、五千円札はやや中央寄りになっています。なお、新しい千円札には、これまでの千円札にはない四角形のホログラムが表面左下に貼られています。

Q12:そのほか、識別のための変更点があれば教えてください。

A12:額面の「10000」や「5000」といったアラビア数字が、これまでのお札と比較して、新しいお札は表面で2から3倍、裏面で5倍ほど額面数字が大きくなりました。また、お札の色味については、一万円札の茶色、五千円札の紫色、千円札の青色といったこれまでの色味をベースとしつつも、新しい千円札の中央部分に橙色を配置しグラデーションをつけることで、五千円札と千円札の見え方が異なるように工夫しています。

Q13:誰にでも使いやすいお札となるよう様々な工夫が施されているのですね。実際に触る以外にも、お札を識別する方法はあるのでしょうか?

A13:はい。お札を製造する国立印刷局では、iPhoneのお札識別アプリ「言う吉くん」を無料配信しています。これは、アプリを起動してカメラにお札をかざすと、お札の種類を識別し、音声と文字で知らせるものです。2024年4月1日に新しいお札に対応したアプリをリリースしていますのでぜひご活用ください。

Q14:新しいお札が発行された後、これまでのお札はどうなるのでしょうか?

A14:新しいお札が発行された後も、これまでのお札も引き続き使うことができます。そのため、財務省では「これまでのお札が使えなくなる」などといった詐欺行為への注意を呼び掛けています。もし、不審に思った場合は最寄りの警察にご相談ください。

(エンディング:女性ナレーター)

私たちの生活と密接に関わりがあるお札が、より偽造されにくく、より識別しやすいものとなって20年ぶりに新しくなります。スムーズな移行に向けて、今回ご紹介した新しいお札の識別方法などについて、事前に把握しておくとよいですね。また、これまでのお札も引き続き使用できますので、「これまでのお札が使えなくなる」などといった詐欺行為には十分に注意しましょう。

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