Skip to Content

July 2022

函館の夏の夜景

  • 函館山から眺める市街地とイカ釣り漁船の漁火
  • 函館山からの夜景。ワイングラスの脚のような形の市街地が、眺められる。
  • 道南いさりび鉄道の車窓からの眺め。街の灯りと漁火とが横一列となる。
  • 道南いさりび鉄道の列車
  • 函館の臨海部で行われる夏の花火
函館山から眺める市街地とイカ釣り漁船の漁火

北海道の函館から望む夜景は、夏のイカ漁の最盛期、沖合に灯るその漁火でいっそう輝きを増す。

函館山からの夜景。ワイングラスの脚のような形の市街地が、眺められる。

北海道函館市の函館山(標高334メートル)は夜景が美しいことで知られ、四季を通じて人気のある景勝地として名高い。ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで三つ星を獲得するなど、世界的にもその輝きが認められている。函館山は、函館湾に細長く突き出した陸地の先端にある。夕闇の頃から、函館山の頂上付近からワイングラスの脚の部分のような形の市街地を眺めると、街全体が光の帯となってきらめく。市街地は幅約1キロメートル、両岸の暗く沈んだ海とのコントラストで、その輝きがより美しく際立つ。

イカ釣りの季節には、市街地の灯りに、海面に浮かぶたくさんのイカ釣りの漁船の漁火があいまって、函館の街が宝石のように輝く時期がある。春先から秋にかけてで、特に多くの船が出漁する夏の風物詩として親しまれている。漁師はイカを引き寄せるために船体にズラリと強い光を放つライトを吊し、疑似餌(釣針の付いた円筒形の漁具)で釣り上げる。

道南いさりび鉄道の車窓からの眺め。街の灯りと漁火とが横一列となる。

函館山ロープウェイ株式会社に勤める水口貴博(みずぐち たかひろ)さんは「函館山の夜景は四季それぞれに美しさがありますが、花火があがる時は、見下ろせば街あかりと漁火、夜空には花火と、そのコンビネーションが特に見事です」と話す。

函館湾沿いを走る道南いさりび鉄道の上磯駅から渡島当別駅間の車窓からも海に浮かぶ幻想的な漁火を眺めることができる。

道南いさりび鉄道の列車

水口さんは「函館山から見下ろす夜景とは異なり、鉄道からは水平に漁火と街の灯りを一緒に眺めることができます。これを観光客や鉄道好きは“横夜景”と呼んで、函館山からの夜景と対で楽しんでいるようです」と語る。

函館湾のイカは、透明感がありコリコリした食感が人気の、函館の夏の名物の一つだ。函館朝市を始め市内の海鮮食堂などでウニ、カニといった函館産の海産物とともに新鮮なイカを味わいに人々が訪れる。

函館の臨海部で行われる夏の花火

夏が到来し、函館山から、車窓から、函館の夜景を満喫できる最適の時機が来た。