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July 2022

光の稲穂が夜空を照らす「秋田竿燈まつり」

  • 「秋田竿燈まつり」の火が灯された竿燈
  • 提灯には、それぞれの竿燈会の紋が描かれている。
  • 上空から見た秋田市内の竿燈大通りの竿燈
  • 46個の提灯、重さ50キログラムの竿燈のバランスをとる差し手
  • 太鼓と笛の演奏(お囃子)
「秋田竿燈まつり」の火が灯された竿燈

日本の東北地方を代表する祭り「秋田竿燈まつり」は、提灯(ちょうちん)の付いた竿燈(かんとう)が、夏の夜を照らし出す。

上空から見た秋田市内の竿燈大通りの竿燈

「秋田竿燈まつり」は、本州北部の日本海沿岸の秋田県秋田市で毎年、8月3日から6日の4日間にわたって開催される。まつりの名前である「竿燈」は、竹竿に提灯を付けたもので、光の稲穂にも見立てられる。豊作を願い、夏の病魔や邪気を払う18世紀中期の行事が起源とされ、青森ねぶた、仙台七夕と並ぶ東北三大祭りの一つで、国の重要無形民俗文化財に指定されている。

竿燈は、子ども用の5メートルほどの小さいものから、長さ12メートルの竿に46個の提灯を吊るすものまで、4種類の大きさがある。大きいものは約50キログラムにもなる。

まつりの当日、夜の帳(とばり)が下りた秋田市の通称「竿燈大通り」(正式名、山王大通り)に、長い竹竿に、たくさんの提灯を付けた「竿燈」250本あまりが一斉に立ち上がる。お囃子(はやし)*がながれ、「どっこいしょー、どっこいしょー」という掛け声が飛び交うなか、差し手(さして)と呼ばれる担(かつ)ぎ手が掲げる竿燈がしなり、ロウソクを灯した提灯が揺れる。差し手は交代しながら、重い竿燈を手、額、肩、腰にのせてバランスをとる。

46個の提灯、重さ50キログラムの竿燈のバランスをとる差し手

「提灯に火を灯した竿燈が一斉に立ち上がるオープニングは、何度見てもワクワク心が躍ります」と、秋田市竿燈まつり実行委員会の担当者は言う。竹竿がしなり、提灯が揺れる竿燈がずらりと並ぶ様子は、風に揺れる稲田で黄金色に光る稲穂のようだ。

竿燈の提灯には、まつりに参加する秋田市内の各地域を表す、様々な文様が描かれている。地域の象徴的な図柄や文字を始め、将来の繁栄を願う扇子や常緑樹の松などが描かれている。そこには北国で生きる人たちの、幸福や長寿、子宝などの願いが込められている。また、提灯に使われたロウソクは安産のお守りとして珍重され、短いものほどお産の時間が短くなると言い伝えられているという。

提灯には、それぞれの竿燈会の紋が描かれている。

「7月に入る頃には市内のあちこちでお囃子を練習する音が聞こえてくるようになり、気分も盛り上がってきます」と実行委員会の担当者は言う。

夏が再びめぐり、高々と掲げられる竿燈の明かり、そして、響き渡るお囃子と「どっこいしょー、どっこいしょー」の掛け声が、秋田の夜空を彩る。

太鼓と笛の演奏(お囃子)

* 一般に、祭礼に際して、笛や太鼓で合奏する陽気な伴奏音楽。