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June 2022

日本の郷土料理を世界に:SAVOR JAPAN

  • 着物を作る職人 (新潟県十日町市)
  • みかんの段々畑 (愛媛県八幡浜市)
  • SAVORJAPAN認定ロゴマーク
  • 「うちの郷土料理」のトップページ
  • きりたんぽ鍋 (秋田県大館地域)
  • 秋田犬の子犬 (秋田県大館地域)
  • へぎそば (新潟県十日町市)
  • 丹後ばらずし (京都府北部地域)
  • 伊根の舟屋群 (京都府北部地域)
  • さつま(左下の汁) (愛媛県八幡浜市)
  • かんざらし (長崎県島原半島地域)
  • 島原半島の中央部にそびえる山々の麓に広がる稲田 (長崎県島原半島地域)
「うちの郷土料理」のトップページ

日本において「SAVOR JAPAN」地域として認定された五つの農山漁村と、そこで育まれてきた郷土料理を紹介する。

SAVORJAPAN認定ロゴマーク

温暖な気候で、豊かな自然に恵まれた日本は、農産物や魚介類など、様々な食材に恵まれている。日本全国には地域の食材を使った、地域独自の郷土料理が数多くある。農林水産省 (以下、農水省) は、こうした多様な郷土料理を育んでいる農山漁村において、地域の料理のみならず、伝統的な生活体験、人々との交流を観光客が楽しめる「農泊」*の推進を支援している。その一環として、2016年からSAVOR JAPAN地域(https://savorjp.info)の認定を行っている。

SAVOR JAPAN地域では、郷土料理と、それに不可欠な食材を生産する農林水産業や、特徴のある景観や歴史などを観光資源として活用する取組が行われており、政府は認定地域に対して、「SAVORJAPAN」というオールジャパンでのブランド化と、そのブランドを活用して国内外への一元的な情報発信を行っている。2022年5月現在、37の地域がSAVOR JAPAN地域として認定されている。

さらに、郷土料理の伝統継承と普及を図るために、農水省は全国47都道府県の郷土料理を紹介するウェブサイト「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」を立ち上げている。(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/index.html) このウェブサイトでは、全国の約1300種類(日本語)の郷土料理の由来、歴史、レシピを紹介。一部のレシピには調理動画も併せて掲載されている。

以下、5つのSAVOR JAPAN地域と各地域の代表的な郷土料理を紹介する。

秋田県大館(おおだて)地域

秋田県は全国有数の米の生産地である。山間部においては昔、熊などの動物の狩猟が盛んで、狩りを生業とする「マタギ」と呼ばれる人も多くいた。現在、世界的な人気を誇る「秋田犬」は、もともと、マタギが狩猟犬として飼っていた犬である。

郷土料理:「きりたんぽ鍋」は、木の串に、すり潰した炊いたご飯を巻き付けて炭火で焼いた「きりたんぽ」、鶏肉、野菜などの具材を、鶏ガラで出汁をとった汁で煮たもの。マタギが山中での食事として、すり潰したご飯と山鳥とを鍋で煮込んで作ったものが起源と言われる。

きりたんぽ鍋
秋田犬の子犬

新潟県十日町市(とおかまちし)

十日町市は冬、山間部では3メートルを超える雪が積もる日本で最も雪が多い地域の一つである。かつて、雪が降る農閑期には、多くの農家が織物を作って生計を立てていた。その技術が受け継がれ、十日町市は現在も、全国でも有数の着物の産地となっている。

郷土料理:「へぎそば」は、布海苔(ふのり)という海藻を原料とするつなぎを使ったそばを、「へぎ」と呼ばれる木製の板状の器に盛りつけたもの。布海苔はもともと、着物を織る糸の強度を上げるために塗る糊(のり)として利用されていたため、そばにも使われるようになったと考えられている。

へぎそば
着物を作る職人

京都府北部地域

日本海に面する京都府北部地域は、海、山、田畑で育まれた多様な食材に恵まれている。その昔、日本海で獲れたサバなどの海産物は、京都の中心地へと運ばれた。海岸沿いには、日本三景の一つである「天橋立」や「日本で一番美しい村」の一つとして認定されている「伊根の舟屋群」などの景勝地も多い。

郷土料理:「丹後ばらずし」は、甘辛く煮たおぼろ状のサバや干し椎茸などの具材を、「まつぶた」と呼ばれる木箱に薄く敷き詰めた酢飯の上に散らした料理。祭り、結婚式、誕生日などの祝いの席での定番の料理となっている。

丹後ばらずし
伊根の舟屋群

愛媛県八幡浜市(やわたはまし)

瀬戸内海に面する八幡浜市は、19世紀末からミカン栽培が行われている。海岸線近くから急傾斜地に築かれた石垣の段々畑が、特徴的な景観をなしている。海では、マダイなどの魚の養殖も盛んである。

郷土料理:「さつま」は、焼いたマダイなどの魚をほぐした身と麦味噌とをすり鉢で混ぜた後、だし汁を加えたものを、温かいご飯にかけて食べる料理。ミカンの皮やネギなどを薬味としても使う。

さつま(左下の汁)
みかんの段々畑

長崎県島原半島地域

雲仙岳(うんぜんだけ)など火山が中央部にそびえる島原半島には温泉が多い。高温の温泉蒸気は、野菜や海産物を蒸すためにも使われている。島原半島は湧水が豊富な地域でもあるため、約400年の歴史を持つ「手延べそうめん」など、湧水を活かした食品が多い。

郷土料理:「かんざらし」は、米粉を団子にして、湧水で冷やしたものを砂糖やハチミツをかけて食べるスイーツ。かつて農家では長期保存用に米粉を作っていたが、夏には米粉も腐りやすかった。そのため、米粉を団子にして湧水の中で保存するようにしたのがかんざらしの起源と言われる。

かんざらし
島原半島の中央部にそびえる山々の麓に広がる稲田

注記: 本記事は農林水産省の公表資料等に基づき作成している。

* 農泊は農山漁村地域に宿泊し、滞在中に豊かな地域資源を活用した食事や体験等を楽しむ「農山漁村滞在型旅行」のこと https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/nouhakusuishin/nouhaku_top.html