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  • 田代島の港での猫への餌やりひと時
  • 田代島の居眠りする猫
  • 田代島の海岸を歩く猫
  • 田代島の猫
  • 田代島の猫たち
  • 猫を島の守り神として祀る「猫神社」
  • キャンプ施設「マンガアイランド」の猫をモチーフにした六つのロッジのうちの1棟

November 2021

猫の島

田代島の港での猫への餌やりひと時

日本の東北地方の太平洋側に浮かぶ小さな島、田代島(たしろじま)は、島民55人よりも多い100匹を超える猫が住む。「猫の島」とも呼ばれて全国的に知られる島で、そこには、のんびり暮らす猫たちと、それを見守る人々の姿がある。

田代島の居眠りする猫

宮城県石巻市からフェリーに乗って約40分、田代島の仁斗田港(にとだこう)に降り立つと、たくさんの猫たちが出迎えてくれる。どの猫も人慣れしていて、訪れる人の足に自分から体を摺り寄せてくる猫もいる。田代島は面積約2.9平方キロメートル、外周11.5キロメートルほどの小さな島だ。島の人口は2021年9月末時点で55人なのに対して、猫の数は100匹を超えると言われている。

田代島の海岸を歩く猫

冬の寒さが厳しい東北地方だが、暖流「黒潮」の影響で、田代島は降雪もほとんどない温暖な気候だ。15年程前、そんな島のあちこちの道端や民家の軒先で、思い思いにくつろぐ猫たちの暮らしぶりがメディアで紹介され、この島は島外の猫好きの人々に知られるようになり、いつしか「猫の島」として人気を集めるようになった。

田代島の猫

島の中央部には、全国的に珍しい、猫を祀る「猫神社」がある。田代島で守り神として猫が大切にされるのは、島の歴史と文化が関係している。

島では、かつて養蚕が行われており、繭をねずみから守るために猫が飼われ始めた。また、田代島周辺は良質な漁場に恵まれている。古くから、漁師たちは、猫のしぐさを見て天候や漁の出来を予測しており、猫を大切にしていたと言う。ある時、一人の漁師が漁具を作ろうとして砕いた岩のかけらで一匹の猫が重傷を負って死んでしまった。心を痛めた漁師は、小さな神社を建立し、 ねんごろに葬った。すると、不思議とそれ以降、豊漁が続くようになったという。

田代島の猫たち

2011年の東日本大震災によって、東北地方の田代島では、漁業や沿岸部の家屋に壊滅的な被害を受けた。石巻市役所地域振興課の今野芳紀さんは「島民の多くが高齢者であることや、離島でもあり、復旧は先の見えないものでしたが、それでも多くの方からの支援もあり、田代島は元の穏やかな姿に戻ることができました」と語る。2018年には海よりのフェリー発着所に加え、市街地の近くに二つ目の新しい発着所が設けられたほか、同年、新造船であるカーフェリー「マーメイドⅡ」及び高速船「シーキャット(See Cat)」が導入されたことにより運航時間が短縮され、利便性が向上した。

猫を島の守り神として祀る「猫神社」

「観光客からは、猫たちの自由な素振りに癒されるといった感想をよく聞きます」と今野さん。ただし、田代島に観光で訪れたら「猫に餌を与えない」、というルールを守ってほしいと言う。これは猫たちの健康を守るためだ。猫の世話は、島の住民と、軽食の提供や土産物を販売する観光施設「島のえき」のスタッフが行っている。

4月中旬から10月末まで、見晴らしの良い丘の上にあるキャンプ施設「マンガアイランド」が利用できる。「マンガアイランド」には、猫をモチーフにしたユニークなロッジが6棟あり、日本の著名な漫画家数名が内装デザインを手掛け、共有部には彼らの描いた猫のイラストが飾られている。

キャンプ施設「マンガアイランド」の猫をモチーフにした六つのロッジのうちの1棟

将来、日本の東北地方を訪ねる機会があれば、田代島に渡って、潮風に吹かれながらのんびりと猫と戯れるのもおすすめだ。