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  • 礼文島の約300種類の高山植物のうちの一種、レブンシオガマ
  • ピンクのイブキトラノオの群生越しに見える利尻山
  • 礼文島の固有種で、黄色い花を咲かせるレブンキンバイソウ
  • ドローンで撮影した冬の礼文島の海岸

November 2021

花の浮島「礼文島」

礼文島の約300種類の高山植物のうちの一種、レブンシオガマ

日本海の北端に浮かぶ離島「礼文島」は、約300種類の高山植物が咲く「花の島」と呼ばれている。礼文島に住んで働き、四季を通じて島の自然を写真に撮り続ける、クリストファー・ブラウンさんに、その魅力を聞いた。

ピンクのイブキトラノオの群生越しに見える利尻山

一面ピンクに染まる花畑のはるかか向こうに雲海からのぞく山影、深い藍色の海に切り立つ緑の崖とそこに咲く可憐な青い花々。礼文島(れぶんとう)で撮影された数々の美しい写真には、そんな景色が切り取られている。撮影者は2010年から礼文島に住むアメリカ出身のクリストファー・ブラウンさん。

礼文島は、北海道本島の北端に位置する稚内市の西方約60キロメートルに浮かぶ人口約2,400人の島である。東西約7.9キロメートル、南北約25.8キロメートル、面積約81.3平方キロメートルで、島の西部は「利尻礼文サロベツ国立公園」の一部に指定されている。5月下旬から8月にかけて、約300種に及ぶと言われる自生の花々が色とりどりに咲き誇ることから、「花の浮島」とも呼ばれている。礼文島は、北緯45度30分に位置し、年平均気温が7度を上回ることがない冷涼な気候だ。そのため、通常は2000メートルを超える山岳地帯でしか見られない高山植物が、ここでは平地でも花を咲かせる。そのうち、レブンアツモリソウ、レブンキンバイソウ、レブンウスユキソウなどは、礼文島の固有種である。

礼文島の固有種で、黄色い花を咲かせるレブンキンバイソウ

ブラウンさんは2010年に礼文島に移住し、2013年から英語指導助手として島内の学校に勤務するかたわら、島の四季を写真に撮り続けている。

「2005年8月に初めて礼文島を訪れたのは夏でした。花畑が点在する林道を歩いていると、鮮烈な松の香りが漂ってきた。その時に感じた清々しさをよく覚えています」 この体験が礼文島移住のきっかけとなったのだという。

礼文島には、高山植物の群生地を観察できるトレッキングコースが6カ所ある。なかでもブラウンさんおすすめは「桃岩(ももいわ)展望台」を巡るコース。「桃岩展望台からは、すぐ隣の利尻島にそびえる美しい利尻山(標高1721メートル)が見えます。5から6月にかけては雲海が出ることもありますよ。花は2週間から3週間ごとに咲く種類が変わり、何度訪れても違う景色が楽しめます」と言う。また、「丘陵を登る途中で様々な花が観察できる『岬めぐり』」のコースもおすすめで、特に、ゴロタ岬辺りの景色が素晴らしい」とも言う。

礼文島の花の最盛期は6月から7月にかけてだ。その季節には、礼文島名物のウニが旬を迎え、花の美とウニの美味両方が堪能でき、訪れるには良い時期だ。しかし、ブラウンさんは、花の時期が終わった草原でススキの穂が金色に輝く秋も、夏に劣らず美しいのだと言う。

12月になれば、礼文島には雪が降り、外からの訪問客も途絶える。ところが、ブラウンさんは、「ほとんど知られることのない、礼文島の冬の美しさも紹介したい」と、写真集『礼文の冬』を自費出版した。雪に閉ざされた山や森に、スノーシューを履いて分け入り、静寂に包まれた礼文島の奥深い雪景色をたくさん写真に収め、またドローンによる動画撮影にも取り組んでいる。そこには、断崖に砕ける荒々しい白波や、手つかずの自然の様子が映し出されている。

ドローンで撮影した冬の礼文島の海岸

穏やかな「花の浮島」としての表情も、厳冬の荒ぶる姿も、礼文島の持つ偽らざる特徴だ。礼文島は、島に住み、島を愛するブラウンさんによって、新たな魅力が提示されている。