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May 2021

世界に開かれた国際金融センター

日本は、海外金融事業者がビジネスを行いやすくするための環境を整備することで、世界から人材、企業、資金が集まる国際金融センターを目指している。

日本への参入・拠点開設を検討する海外金融事業者を支援する取組を紹介している金融庁ウェブサイト
https://www.fsa.go.jp/internationalfinancialcenter/index.html

日本政府は、2020年12月8日に「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」を閣議決定した。その中の施策の一つが「世界に開かれた国際金融センターの実現」である。日本は、金融事業の拠点として多くの強みがある。例えば、国内総生産が世界第3位の約560兆円(約5兆米ドル)(2019年時点)と、実体経済が非常に大規模である。また、金融機関は約1,500社(2021年2月時点)にのぼり、金融ビジネスの素地が確立されている。個人金融資産は約1,900兆円(約18兆米ドル)と潤沢で、資産運用業に大きなポテンシャルを秘めている。そして、政治、法律制度は安定しており、治安、生活環境も良好である。

総合経済対策は、日本のこうした強みを活かし、海外と比肩し得る魅力ある金融資本市場への改革と海外事業者や高度外国人材を呼び込む環境を構築することで、世界に開かれた国際金融センターの実現を目指している。

資産運用ビジネスの環境整備

総合経済対策を踏まえ、日本政府は海外で資産運用業を行ってきた事業者や人材が、同様のビジネスを日本で行いやすくするための、省庁横断的な政策パッケージを策定している。その一つが、資産運用業者の参入手続の簡素化である。日本で投資運用業を行うには、原則として、当局に登録が必要であり、登録の審査・手続にも相応の時間を要している。しかし、海外当局の許認可を受け、海外の顧客資金の運用実績のある資産運用業者や、主に海外のプロ投資家を顧客とするファンドの資産運用業者は、当局に届出をすれば、登録手続等が必要なく、日本に参入ができる制度が新たに創設される予定である(2021年通常国会において法改正案が成立)。

また、2021年3月に、法人税、相続税の税制措置を盛り込んだ改正税法が成立した。法人税の税制措置として、非同族会社等の役員に対する業績連動報酬の損金算入については、これまで一定の要件を充たした上場会社にのみ認められていたが、業績連動報酬の算定方法を金融庁ウェブサイトに掲載すること等を要件に、投資運用業を主業とする非上場会社についても、認められることとなった。そして、相続税の税制措置として、相続開始前15年以内において日本に10年以上居住している外国人が亡くなった場合、これまでは、その故人の国内財産のみならず、国外財産も相続税の課税対象とされていたが、今回の税制改正で、国外に居住する外国人や日本に短期的に滞在する外国人が相続人となるときは、勤労のために日本に居住していた外国人の国外財産について、その居住期間に関わらず課税対象外となった。

拠点開設サポートオフィス

2021年1月12日、金融庁と財務省財務局は、日本での拠点開設を検討する海外金融事業者に対する一元的な相談窓口として「拠点開設サポートオフィス」を開設した。(https://www.fsa.go.jp/internationalfinancialcenter/market_entry/index.html)

サポートオフィスは、金融ライセンスの取得に関する事前相談から登録手続、登録後の監督までを、スピーディーに、切れ目なく、担当者が英語で対応する。さらに、在留資格の取得や住居の確保の支援、英語の通じる医療機関やインターナショナルスクールに関する情報提供など、外国人が日本で生活するための支援も行う。

サポートオフィス開設の効果は既に現れている。サポートオフィスが開設されると間もなく、イギリスの資産運用会社との間で、日本子会社の投資助言・代理業の登録の事前相談が行われた。サポートオフィスは、ビデオ会議などの方法を用い、同社の相談や手続などの様々な業務を英語で行い、2021年4月には、サポートオフィスが支援した海外金融業者として最初の業登録が完了している。

以上で述べた施策の実施は、世界に開かれた国際金融センターの実現に向けたスタートにしか過ぎない。日本は今後も、海外事業者の参入障壁の除去、日本の金融市場に関する情報発信の強化など、不断の改善に取り組んでいく。

注記: 本記事は金融庁の了解の上、金融庁の公表資料に基づき作成している。