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  • 海岸に打ち寄せた海洋ごみ
  • 伊那食品工業株式会社が開発した寒天製の食べられるフィルム
  • 香川県で行われている漁業者による海洋ごみの回収
  • 株式会社ピリカが開発したドローンを使った河川ごみ分布調査システム

August 2020

プラスチックと「賢く」付き合う

海岸に打ち寄せた海洋ごみ

近年、海洋プラスチックごみが世界的な問題となっている。日本は官民で連携し、「賢く」プラスチックごみを減らすための様々な取組を行っている。

伊那食品工業株式会社が開発した寒天製の食べられるフィルム

近年、プラスチックごみによる海洋汚染が国際的に深刻な問題となっている。海洋に流出した海洋プラスチックごみは、生態系を含めた海洋環境の悪化や、海岸機能の低下、景観への悪影響、船舶航行の障害、漁業や観光への影響など、様々な問題を引き起こしている。2016年1月に世界経済フォーラム(ダボス会議)が発表した報告書によると、世界のプラスチック生産量は1964~2014年の50年間で20倍以上に急増し、毎年約800万トンのプラスチックが海洋に流出している。このまま有効な対策が取れなければ、2050年までに海洋中のプラスチックごみが魚の重量を上回ってしまうという予想も示されている。

大阪ブルー・オーシャン・ビジョン

日本は、昨年(2019年)6月のG20大阪サミットにおいて、共通の世界のビジョンとして、「2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す」ことを掲げた「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の共有を主導した。海洋プラスチック汚染問題の解決に向けては、新興国・途上国を含むより多くの国が目標を共有し、実効的な対策を着実に実施することが重要である。現在、このビジョンはG20を超えて86の国と地域が共有している。また、このビジョンを実現するために、日本政府は、ベスト・プラクティス(経験知見・技術)の情報発信と共有等を促す実施枠組を構築した。この枠組に基づき、昨年10月には東京で第1回のフォローアップ会合を開催し、17の国と地域や国際機関の参加を得た。各国が互いに学び合い、対策を高め合うスタートを切れた意義は大きい。加えて、各国が取組を容易に更新できるよう、我が国のイニシアティブでポータルサイト(https://g20mpl.org)も立ち上げた。日本は、今年のG20議長国であるサウジアラビアとも連携し、実施枠組に沿った取組を働きかけていく。

プラスチック・スマート

「プラスチック・スマート」は、「プラスチックとの賢い付き合い方」をキーワードに、普及啓発、広報を通じて海洋プラスチック汚染の実態の正しい理解を促しつつ、国民的気運を醸成し、海洋ごみの発生防止に向けた取組を進めることを目的とした環境省が実施しているキャンペーンである。

2020年8月現在、「プラスチック・スマート」のウェブサイトには1200件を超える取組が登録されており、キャンペーンサイトや各種イベントを通じて広く国内外に発信されている。(http://plastics-smart.env.go.jp/

取組事例

・ 株式会社Nature Innovation Groupは、日本で年間8,000万本消費されているビニール傘を減らすために、必要な時に、最寄りの「傘スポット」で傘の借用・返却ができる「アイカサ」というサービスを実施している。

・ 香川県ごみ対策推進協議会は、市町、県、漁業者が協力し、海底に堆積したごみの回収・処理に取り組んでいる。漁業者は操業中に引き揚げたごみを港まで持ち帰り、その運搬・処理は市町県の負担で行っている。

香川県で行われている漁業者による海洋ごみの回収

・ 伊那食品工業株式会社は、テングサから作る「寒天」を活用し、食べられる素材のみを原料とするフィルムを製造。食材の包装など、プラスチックの代替品として使われている。

・ 株式会社ピリカは、ユーザーが拾ったごみを写真やコメント付きで投稿し、ごみ拾い活動を見える化するSNSアプリを開発。世界で80カ国以上から50万人以上が参加している。また、同社はドローンを使った河川ごみ分布調査システムも開発している。

株式会社ピリカが開発したドローンを使った河川ごみ分布調査システム

また、日本では、既に人口の半数以上をカバーする、139の自治体が海洋プラスチックごみ対策に関する宣言や方針を発表している。環境省は、このような地方自治体による宣言・方針の策定を促していくともに、今後とも、海洋プラスチックごみ問題に取り組む企業・団体の交流を促進していく。