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  • 東京のホテルニューオータニの「ザ・メイン」、40階建ての「ガーデンタワー」、オフィス棟の「ガーデンコート」
  • 契約農家の水田の脇に立てられた看板
  • 契約農家の農作物の一例

August 2020

ホテルの生ごみリサイクル

東京のホテルニューオータニの「ザ・メイン」、40階建ての「ガーデンタワー」、オフィス棟の「ガーデンコート」

宿泊から宴会、会議、打ち合わせなどで多くの客を迎える大規模ホテルは様々な食糧資源の一大消費地である。東京にある大規模ホテルでは、20年以上にわたって、ホテル内で発生する生ゴミを施設内で資源化する取組が続けられている。

契約農家の水田の脇に立てられた看板

1964年に開業したホテルニューオータニ(東京)は、日本を代表するラグジュアリーホテルの一つとして知られる。約7万平方メートルの敷地には、江戸時代(1603~1867)には大名屋敷のものであった広大な日本庭園を囲んで、本館「ザ・メイン」、40階建て「ガーデンタワー」、オフィス棟「ガーデンコート」の3棟が建ち、1479室の客室があり内外から多くの客を迎える。

広い館内には、フランス料理、日本料理、中国料理、バーなど37の飲食店があり、ゲストは様々な料理や飲み物を楽しめる。しかし、これらホテル内の飲食店の厨房では、1日平均3500~4000キログラムの生ゴミが出る。それらは、当初は廃棄するしかなかったが、ホテルの従業員から何らかの形で資源として再利用すべきではないかという声が上がり、ホテルとして検討するに至った。その結果、1999年に、敷地内に1日最大5000キログラムの生ゴミを処理できる「コンポストプラント」を設置し、以来、生ゴミを100パーセント資源として再利用するシステムを構築した。

ホテル内の厨房から排出された生ゴミは、その日のうちに、コンポストプラントでホテルのボイラーなどの排熱を利用する高温蒸気で乾燥される。生ゴミは80パーセント以上が水分のため、乾燥した生ゴミの体積は五分の一から六分の一ほどになる。これを発酵槽で一週間ほど寝かせてから、栃木県の堆肥をつくるための専門の堆肥センターに運び、おがくずなどを混ぜて二次発酵させて、堆肥を作る。完成した堆肥は、契約農家のもとに届けられる。それを使用した有機栽培又は減農薬栽培によるお米や野菜ができると、ホテルで買い取り、主に社員食堂で使われる。

「この生ゴミ堆肥を使い、8軒の契約農家に作物を育ててもらっています。あまり農作物の出来が良くなかった場合でも、基本的に年間契約で決まった量を固定価格で引き取ることになっているため、農家にとってはリスクが少なく、我々にとっても安心です」と熊木さんは話す。

コンポストプラントによる生ゴミリサイクルは、赤字を出さない循環型モデル事業として成立している。

契約農家の農作物の一例

「我々のホテルは様々な機能を備えた、いわば“小さな都市”のモデルです。生ゴミごみリサイクルのほかにも、たとえば敷地内の地下水から飲料水をつくり、災害時に給水できる施設もあります。お客様はもとより近隣住民の皆様、スタッフと共ともに循環型のコミュニティを作ることを目指しています」とファシリティマネージメント部部長の熊木義男さんは話す。

現在、ホテルニューオータニ東京全館のゴミのリサイクル率は、コンポストプラントによる生ゴミリサイクルを含め、75~76パーセントとなっている。リサイクル率の向上とゴミの減量に向けた次の課題は、「紙」と「廃プラスチック」と熊木さんは言う。シュレッダーにかけた紙ゴミを溶かし、段ボールに再生する試みに取り組み始めているという。また、2019年7月からはホテル内全飲食店で、ストローをプラスチック製から紙製に変更し、ゲストに確認して必要ない場合は提供しないことにした。今後は、こうした取組を広く伝えることも大切、と熊木さんは続ける。

「400年の歴史を持つ緑豊かな庭園を守る私たちのホテルは、開業時から環境への配慮を理念としてきました。今後はこうした取組をよりわかりやすく伝え、次世代につなげていくことが大切だと考えています」