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  • 水で割っておいた焼酎を温めて味わう
  • 薩摩焼酎と相性の良いさつまあげ(中央)ときびなごの刺身(右上)
  • 作業員が芋の品質をチェックして、手作業で選別する
  • 蒸した芋を細かく砕いたものに麹と水を混ぜてもろみを作り、かめ壺に流し込む
  • かめ壺で仕込まれる焼酎
  • 鹿児島では伝統的な木樽が今も使われている

June 2020

薩摩焼酎:世界に誇る鹿児島のスピリット

水で割っておいた焼酎を温めて味わう

日本の西南、九州地方の最南端に位置する鹿児島県。かつて「薩摩」と呼ばれていた鹿児島はサツマイモの産地として知られている。正に、その鹿児島で採れたサツマイモを原料として造られる「薩摩焼酎」は、世界的にも評価される蒸留酒(スピリット)として、昨今、人気が高まっている。

薩摩焼酎と相性の良いさつまあげ(中央)ときびなごの刺身(右上)

米と麹から造る醸造酒の日本酒は、今から1,200年前、8世紀初頭に編さんされた書物「風土記」にその原型が記されている。一方、様々な原料から造る蒸留酒の焼酎は500年ほど前に南九州で造られるようになったと伝えられる。

今日、そば、米、麦、サトウキビ、そして芋焼酎のうち、高い人気を誇るのが鹿児島県の「薩摩焼酎」である。鹿児島県で採れる名産のサツマイモと水、麹を用いて、原料の発酵、蒸留、貯蔵、容器詰めを一貫して県内で行ったものだけが「薩摩焼酎」と呼ばれ、2005年にはWTO(世界貿易機構)の「地理的表示」の認定を受けた。これは、ワインのボルドー、シャンパン、スコッチやバーボンなど世界的なブランドと同じように、商品の原産地を特定する表示であり、知的財産権の一つとして保護されている。なお、日本の蒸留酒では、このほか、「琉球」(沖縄県)、「球磨(くま)」(熊本県)、「壱岐(いき)」(長崎県)の焼酎も地理的表示の認定を受けている。

薩摩焼酎について、鹿児島県酒造組合の中玉利豊さんは、「芋焼酎の歴史は、1705年、南薩摩の(現在の鹿児島県)の漁師、前田利右衛門が琉球王国(現在の沖縄県)からサツマイモを持ち帰ったことに始まります」と言う。

鹿児島県を含む九州南部一帯には、火山噴出物と火砕流によって形成されたシラス台地が広がっている。この土壌は水はけが良いため稲作には向かないが、サツマイモには非常に適し、盛んに栽培されるようになった。幕末には藩主がサツマイモを原料とする焼酎造りを奨励したことで、「薩摩焼酎」は一気に広まることになったのである。

現在、薩摩焼酎の蔵元は、県内のほぼ全域に80社ほどある。

サツマイモの品種や麹菌、蒸留方法の違いにより、でき来上がる焼酎の香りや味わいは蔵元ごとに異なる。そのお陰で、和食や洋食、中華料理など、どんな料理にも合う焼酎を見つけることができるのが薩摩焼酎の特徴でもある。言うまでもなく、魚のすり身を油で揚げた郷土料理の「さつまあげ」、黒豚や刺身のきびなごなどと一緒に味わう薩摩焼酎は絶品である。

薩摩焼酎の一般的な飲み方はロック、水割り、お湯割りの3通りだが、中玉利さんは、「熱湯ではなく80℃くらいのお湯を先にグラスに入れておき、そこに焼酎を加えます。すると対流が起こってお湯と焼酎が良くなじみ、芋の香りもちょうど良い具合に立ち上がってくるのです」と、お湯割りをすすめる。

例年11月、ロンドンで開催される「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリット・コンペティション」の焼酎部門には日本から100種類余りの出品がある。昨年(2019年)、最高賞を受賞した薩摩焼酎「だいやめ」は、「フルーティな香りとバラのような繊細な香りを相備え、バランスの取れた味わい」と評価された。このほかにも、「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ」、「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション」で、薩摩焼酎を始めとする日本の焼酎が高い評価を受けている。

鹿児島県は霧島連山桜島や錦江湾など多くの景勝地と温泉に恵まれている(2018年2月号参照)。郷土料理と薩摩焼酎は、これらとともに同県の大きな魅力となっている。

作業員が芋の品質をチェックして、手作業で選別する
蒸した芋を細かく砕いたものに麹と水を混ぜてもろみを作り、かめ壺に流し込む
かめ壺で仕込まれる焼酎
鹿児島では伝統的な木樽が今も使われている