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  • 通訳アプリの画面を表示したスマートフォンを持つコチュ・オヤさん
  • 株式会社オイラ・創業者のコチュ・オヤさん

June 2020

いつでもどこでも通訳を

通訳アプリの画面を表示したスマートフォンを持つコチュ・オヤさん

外国で生活する人々が言葉の壁に突き当たることは多い。トルコ出身のコチュ・オヤさんは、日本での経験を踏まえ、利用者が、いつでも・どこでも遠隔通訳を依頼できるグローバルなビジネスを立ち上げた。

株式会社オイラ・創業者のコチュ・オヤさん

トルコ出身、東京在住のコチュ・オヤさんは、自ら起業した株式会社オイラを率いてグローバルな活躍を続けている。

同社は、24時間、世界のどこからでも遠隔通訳を依頼できるアプリを提供している。利用者は登録リストから、言語や専門などの点で、最適な通訳者を選びオンラインで直接依頼できる。

「従来、通訳を頼むには、通訳者が所属する事務所に日時を指定して予約をしなければなりません。しかし、日常では、少しの時間、今すぐに通訳が必要だという場面が多いのです。この課題を解決したいと思いました」とオヤさんは言う。

世界的にもこのような通訳プラットフォームはほとんど例がない。

オヤさんが初めて来日したのは大学生の時のことである。学んでいた電子通信工学をいかそうと日本の半導体メーカーの研修に応募した。

「私は日本への飛行機に乗ったはずだったけど、間違いで天国へ来てしまったのかしら、と思いました。それほど、研修の日々は夢のようでした。日本の人々は皆、優しく穏やかで本当に親切。行き先が東京という都会ではなく、自然豊かな滋賀県だったのも良かった」と振り返る。

その後もオヤさんは、2度目の企業研修、東京大学大学院への留学と来日を重ね、大学院を修了するとコンサルティング会社へ就職、そして彼女は日本への移住を決意した。

日本語が堪能になっていた彼女のもとには、住居の契約時や病院などで、細かいコミュニケーションに困った外国人の友人たちから、頻繁に助けを求める電話がかかってくるようになった。

「大抵の場合は私が電話を替わって通訳すると短時間で解決しました。簡単な日常会話ならAIの通訳アプリで足りますが、お互いの考えを理解して伝えるには、やはり間に人間が入ることが大切だと思いました」

オヤさんは職を辞して、知人と2人でオイラを起業、アプリの開発に着手した。

彼女はオイラの理解者を増やしていった。現在、登録通訳者は900人を超え、対応言語は153にも及ぶ。専門知識を持つ通訳者も多く、IT、金融、建設など幅広い分野に対応し、各種企業から市役所などの公的機関まで利用者を広げている。個人、法人合わせて延べ9000件余りの利用実績を誇り、利用者のみならず登録通訳者からも感謝の声がたくさん寄せられるようになった。

オイラは、通訳者の自由な働き方を尊重し、仕事時間のオンオフ、働く場所、料金設定などを通訳者自らが設定できるようにしている。

「私の活動の場はグローバルですが、拠点を日本に置くことにはこだわりがあります。日本はいつも私に安らぎを与えてくれる特別な国ですから」とオヤさん。 友人を助けたいという願いから生まれたオヤさんの独創的なビジネスは、彼女にとって「天国のような」日本から、世界中の人々へ安心をもたらしている。