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  • 浄土ヶ浜の松を置く岩
  • 山田湾産のカキ
  • 南三陸町の神割崎の景勝
  • 高田松原の「奇跡の一本松」
  • 田野畑村の北山崎の断崖

May 2020

復興公園でエコツーリズムを

浄土ヶ浜の松を置く岩

青森県南部から宮城県の牡鹿半島までの南北約250キロメートルに及ぶ三陸復興国立公園は、東日本大震災からの復興と被害の伝承を目的とする国立公園である。エコツーリズムを楽しめる自然歩道「みちのく潮風トレイル」が、公園を縦断して約1,000キロメートルにわたって整備されている。

三陸復興国立公園は、リアス式海岸など変化に富んだ海岸線が美しい公園である。1995年、陸中海岸国立公園として指定され、2010年には約407万人が訪れていた。2011年の東日本大震災で被災した三陸地域の復興に貢献するため、2013年、三陸復興国立公園として指定された。

東北地方最大の都市仙台市から北東に車で1時間半ほど行くと、太平洋に面した南三陸町に神割崎という景勝地がある。神割崎という名前は、二つの村が起こしたいさかいに怒った神様が大きな岩を引き裂き割いて村を引き離してしまったという伝説に由来する。

南三陸町の神割崎の景勝

南三陸町を北上した岩手県陸前高田市には、白い砂浜に2キロメートルにわたって松林が伸びる高田松原があった。防潮林として約350年前に植林が始まり、約7万本の松が茂る景勝地で、震災前の2009年には109万人の観光客が訪れていた。津波は松林ごと高田松原を押し流した。しかし奇跡的に残った一本の松が住民の心の支えとなった。残念ながら、その最後の一本も枯死してしまったが、防腐処理や補強が施され復興を象徴するモニュメント「奇跡の一本松」として保存されている。現在、高田松原の再生に向け、2021年までに4万本の松を植林する計画が進められている。

その北東側の岩手県大船渡市の末崎半島には、碁石状の円い小れきが広がる碁石海岸、海面から突き出した三角形の岩が連なる穴通磯など人気の観光スポットがある。

高田松原の「奇跡の一本松」

大船渡市をさらに北上して宮古市に入ると、それまでの荒々しい海岸線の風景は一変し、透明度が高く波が穏やかな群青の海に、林立する鋭くとがった白い流紋岩がまぶしい浄土ヶ浜に出会う。

三陸沿岸は豊かな漁場が多いことでも知られているが、浄土ヶ浜の南にはカキ養殖が盛んな山田湾がある。ここも津波で甚大な被害を受けたが、漁業者の努力によって山田湾に養殖いかだが浮かぶ光景が戻ってきた。山田湾でとれたカキは身も厚く、湾岸に建つ「かき小屋」でとれたての殻付きカキを豪快に蒸し焼きにして味わうことができる。

田野畑村の北山崎の断崖

三陸復興公園は、この他にも見どころが多い。例えば、最北端の青森県八戸市の種差海岸は波打ち際までが広がる天然芝生が美しいし、70キロメートルほど南下した岩手県田野畑村には、高さ約200メートルの断崖絶壁が8キロメートルにわたって続く北山崎があり、さらに10キロメートル南には規則的に鋸歯状が特色の手付かずの自然が残る鵜ノ巣断崖が見る者を圧倒する。

2013年の三陸復興国立公園指定を契機に整備が進められていた自然歩道「みちのく潮風トレイル」が、2019年6月に開通した。八戸市の種差海岸から、福島県北部、相馬市の景勝地、松川浦まで、4県28市町村を巡る全ルートは1,000キロメートルを超える。復興公園から宮城県沿岸部を抜けて福島まで、被災地を結び復興を伝承しつつ、三陸の豊かな自然、人々との交流、そしてエコツーリズムを楽しむ、そんなロング・トレイルである。

山田湾産のカキ

三陸復興国立公園は、いっそう魅力あふれる公園として生まれ変わろうとしている。

(2018年3月号掲載記事を再編集)