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  • 消費者庁による食品ロス削減国民運動の広報
  • 家庭から手付かずで捨てられた食品
  • 料理レシピサイト「Cookpad」に設けられた「消費者庁のキッチン」では食材を無駄にしないレシピを紹介している
  • 獨協大学の学生食堂で、賞味期限の近い災害時用備蓄食品を活用して提供された鶏肉料理
  • 岐阜県土岐市の小中学校で提供された、災害時用備蓄食品のレトルトカレーをメニューに加えた給食

May 2020

食べ物を無駄にしない

消費者庁による食品ロス削減国民運動の広報

世界的な課題となっている「食品ロス」。日本では、2030年度までに2000年度比の半減を国として目標に掲げ、まだ食べることができる食品が廃棄されないように、様々な取組が行われている。

「食品ロス」が日々、世界で大量に発生している。国連食糧農業機関(FAO)が2011年に発表した報告書によれば、世界の食料廃棄量は年間約13億トンに上る。これは、人の消費向けに生産された食料の約3分の1に当たるとされる。

家庭から手付かずで捨てられた食品

食料の生産、消費、廃棄には膨大な資源やエネルギーが使用されており、食品ロスが削減できれば、温室効果ガスの排出量の減少にもつながる。こうしたことから、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)では、「2030 年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」ことが目標に掲げられている。

農林水産省及び環境省が2020年4月に発表した統計によれば、2017年度の日本の食品ロスは年間612万トンに上ると推計される。このうち、328万トンは食品製造業や外食産業などの事業から、284万トンは家庭から発生している。このような食品ロスを削減するため、2019年10月に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行された。同法では、国民が主体的に食品ロスの削減に取り組み、社会全体で食品を無駄にしない意識の醸成を図ること、まだ食べられる食品を廃棄せずに、できるだけ食品として活用すること、そして、多様な主体が連携し、食品ロスの削減を推進することが明記されている。

料理レシピサイト「Cookpad」に設けられた「消費者庁のキッチン」では食材を無駄にしないレシピを紹介している

2020年3月には、同法に基づく「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」が閣議決定された。その基本方針において、消費者は、食材は使い切れる分だけを購入する、食材の食べられる部分は無駄にしない、外食の際に食べ切れる量を注文する、といった取組が期待されている。また、農林漁業者は規格外や未利用の農林水産物の有効活用を、食品関連事業者は容器包装の工夫による食品の賞味期限の延長などの取組が期待されている。

政府や地方公共団体は、食品ロスに関する教育の振興、食品関連事業者の取組への支援などを推進することとしている。そして、事業系・家庭系共に食品ロス量を2000年度比で2030年までに半減させること、食品ロス問題を認知して削減に取り組む消費者の割合を80%(2020年1月の調査では76.5%)にすることを目標として掲げている。

防災と食品ロス削減

日本では様々な食品ロス削減の取組が行われている。災害時の備蓄食品の有効活用もその一つである。台風や地震など自然災害が多い日本では、災害時に備えて、各家庭で1週間分の食料を備蓄することが望ましいとされている。しかし、災害時のためだけにレトルト食品や缶詰を大量に備蓄していると、賞味期限内に食べ切れずに廃棄せざるを得なくなることがある。そこで消費者庁は、食品ロスを生じさせない食料備蓄の方法として、ふだん食べている食品を少し多めに買い置きして、食べた分を買い足すという「ローリングストック法」を各家庭に呼びかけている。ふだんの食事として、賞味期限の終期に近いものから順番に食べることで、食品ロスの削減につながる。

獨協大学の学生食堂で、賞味期限の近い災害時用備蓄食品を活用して提供された鶏肉料理

各地域での取組例には次のようなものがある。東京都では、災害時の備蓄食品で、賞味期限間近のクラッカーやアルファ化米を社会福祉法人などの団体に寄贈することや、イベントで市民に配布するなどの取組を実施している。また、埼玉県草加市の獨協大学の学生食堂では、学生や教職員に防災と食品ロスへの意識を高めてもらうため、同大学の災害時用備蓄食品で、賞味期限の終期に近いものを学生食堂の料理に活用し、提供する取組が実施された。岐阜県土岐市では、同市教育委員会が、食器も不要で、温めずに食べられるレトルトカレーを教職員と子ども用に備蓄しているが、それを毎年1回、防災教育と備蓄食料の有効活用の一環として、小学校と中学校の給食の一品に加えている。

岐阜県土岐市の小中学校で提供された、災害時用備蓄食品のレトルトカレーをメニューに加えた給食