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March 2020

新しい在留資格「特定技能」

2019年4月に創設された、新たな在留資格「特定技能」について紹介する。

「特定技能」は、日本での就労を目的とする外国人向けに、2019年4月に新設された在留資格である。特定技能を取得した外国人(以下、特定技能外国人)は、14の特定産業分野で働くことができる(表参照)。(https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri01_00127.html)

「特定技能」の在留資格で従事できる特定産業分野
介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空,宿泊,農業、漁業、飲食料品製造業、外食業

日本政府は、特定技能外国人の適正な送出し・受入れの確保、特に、悪質な仲介業者の排除のために、2020年2月現在、アジアを中心に12か国と二国間取決め(MOC)を作成しているが、日本とMOCを作成していない国であっても、いわゆる「開発途上国」や「先進国」に関わらず、いずれの国の外国人も、特定技能を取得することは基本的に可能である。2019年12月末現在、特定技能外国人は、アジア、ヨーロッパ、南米など17か国・地域の、1,621名である。日本は今後5年間で最大約34万5千人の特定技能外国人の受入れを見込んでいる。

特定技能の試験

特定技能外国人として就労するためには、技能試験と日本語試験の両方を受験する必要がある。技能試験は、外国人が就労を希望する特定産業分野について、相当程度の知識、または経験を有することを測るために、分野ごとに年複数回実施される。試験は日本語で、パソコンを使用して出題・解答するコンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式や、ペーパーテスト方式などで行われる。分野によっては実技試験も実施される。既に、幾つかの特定産業分野で最初の試験が実施されているが、2020年3月末までには、全ての分野で試験が実施される予定である。なお、2020年4月からは、受験目的の短期滞在で日本に入国した外国人が技能試験を受験することも可能になる。

日本語試験に関しては、2019年4月に独立行政法人国際交流基金が新たに創設し、年複数回実施している「国際交流基金日本語基礎テスト」(JFT-Basic)を受験し、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」の目安として、A2レベルの一定程度の日本語能力を持っているとの判定結果を得るか、あるいは、国際交流基金と日本国際教育支援協会が年2回実施している「日本語能力試験」(JLPT)を受験し、「N4」(基本的な日本語を理解することができる)以上のレベルの認定を受ける必要がある (なお、外国人技能実習制度における在留資格「技能実習2号」又は「技能実習3号」を良好に修了した外国人は、技能試験と日本語試験は免除される)。

雇用契約の締結、査証の申請・発給などの手続きを経て、特定技能を正式に取得した外国人は、雇用先の受入れ機関、もしくは、受入れ機関から委託を受けた登録支援機関から、日本で安心して生活や仕事をするための支援を受けることができる。例えば、入国時での空港への出迎え、住居の確保や銀行口座開設、携帯電話の契約などの手続き、日本語学習の機会の提供、日本でのマナーや公共機関の利用方法などを説明する生活オリエンテーションの開催、日本の伝統文化や地域行事の案内、仕事や生活に関する相談などである。

共生社会に向けた取組

日本は現在、外国人を適正に受け入れ、日本人と外国人が安心して安全に暮らせる共生社会の実現を目指している。そのために、出入国在留管理庁は、全国にある8つの地方出入国在留管理局と3つの支局に受入環境調整担当官を配置し、外国人の適切な受入れ環境の整備に関して、地方公共団体等の関係機関からの意見聴取や相談対応などの業務を実施している。

また、出入国在留管理庁は関係省庁と協力し、「生活・就労ガイドブック」を作成している。ガイドブックには、入国・在留の手続、出産・子育て、教育、税金など、日本で生活するために必要な情報が幅広く紹介されている。

さらに、関係省庁が連携し、外国人との共生を総合的に促進する拠点として、2020年度中に「外国人共生センター」(仮称)を東京都新宿区四谷に新設する。同センターは、留学生の受入れや日本での就職促進、外国人の人権擁護、法律トラブルや査証に関する相談、地方を含む外国人の雇用促進など幅広い支援を実施する予定である。

外国人生活支援ポータルサイト
https://www.moj.go.jp/isa/support/portal/index.html