The online magazine HIGHLIGHTING JAPAN

INDEX

Language

March 2020

カップの中で泳ぐティーバッグ

イルカや猫などの動物の形をしたユニークなティーバッグが、贈り物として人気を集めている。

海のような青いハーブティーを泳ぐイルカやウミガメ、ほうじ茶の中にゆらゆら揺れるタヌキなど、50種類以上もの生き物をモチーフにしたティーバッグが「小さな贈り物」として人気を集めている。1パック300~400円のティーバッグながら、2016年の発売開始以来、販売数が累計17万パックに上っている。

このユニークなオリジナルティーバッグの製造販売を手掛ける埼玉県戸田市の株式会社大翔水産は、2014年の創業以来、水産物の取引やWEB事業などを展開してきた。代表取締役の高橋翔太さんは、開発の経緯について語る。

「私たちが初めて開発したイルカ型のティーバッグは、イルカウォッチングの島として有名な熊本県天草市の茶園からショップサイト制作の依頼を受けたことがきっかけで生まれました。『天草らしいイルカ型のティーバッグを作りたい』というクライアントのアイデアを聞き、実現できれば多くの人たちに興味をもってもらえると確信しました」

既に台湾では金魚の形のティーバッグがあり、人気を得ていることも確信の裏付けとなった。しかし、高橋さんらにティーバッグ製造の経験はない。そのため、当初は他のメーカーに製造に委託しようと考えたが、相談した全ての会社から断られてしまった。その理由は、もともとティーバッグは機械によって大量生産できる低コストのものが一般的であり、オリジナルデザインで数百個単位の小ロットを製造することが難しいからだった。

そこで高橋さんは自ら素材探しから加工方法までを試行錯誤し、ティーバッグ開発に取り組んだ。一般的なティーバッグは、「持ち手」の部分は四角い紙であるが、お茶が詰められたフィルター部分の形に合わせて、色やデザインに工夫に凝らした。例えば、最近、人気の高い「コツメカワウソ」のティーバッグは、持ち手となる紙製の上半身部分をカップの縁に引っ掛けると、下半身部分のフィルター部分がお湯に浸かるようになっている。コツメカワウソが両前足をカップに掛けているように見えるデザインが愛らしい。

フィルター部分の素材は不織布を使っている。オリジナルの型を作って裁断し、熱で密着させて加工する。曲線が多い複雑なデザインなので機械化が難しく、加工はほとんどが手作業である。

「不織布は薄いと水分を含んだ際にぐちゃっとつぶれて生き物の形にならず、かといって厚いとお茶がしっかり抽出できません。3種類の厚さの不織布を組み合わせることで、形を保ったまま、お茶も抽出できるものが作れるようになりました」

イルカ型のティーバッグが発売されて以降、新聞やテレビなどで紹介されて評判を呼び、お客さんから「ウミガメが欲しい」、「猫も欲しい」といった要望が届くようになった。高橋さんはそれらの要望に応えて次々に商品を増やし、今や珍しい深海生物や古生代の生き物シリーズなど豊富なラインナップを展開している。

ティーバッグのデザインによって、中身のお茶は緑茶、ほうじ茶、紅茶、ハーブティーなど異なっている。インターネット販売を中心に、雑貨店やリゾート施設などでも販売され、友人へのプレゼントとして購入する人や、結婚式の引き出物として使われることも多いという。

今後、カップの中をくるくると回るティーバッグなど、新しいアイデアが実現する可能性もあり、ティータイムを一層楽しくリラックスしたものにしてくれそうである。