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February 2020

宇宙に彩られる祭り

宇宙をテーマに、毎年秋に開催されているお祭りがある。宇宙をモチーフにした服やアクセサリーのお店、ファッションショーを楽しみに、多くの人が集まる。

2014年から毎年秋の満月に近い日に、宇宙に親しむイベント「宙(そら)フェス」が、京都の嵐山で開催されて6000人を超える人が集まっている。また、2019年からは東京の日本橋でも開催が開始された。宙フェスには、宇宙にちなんだアクセサリーや衣装で思い思いのファッションを楽しむたくさんの人たちが集う。主催する宙フェス実行委員会の池側恵子さんは「開催中は、来場者から参加者を募って開催するファッションコンテストもあって、人気を呼んでいます。皆さん、グランプリ獲得を目指して個性を出そうと、たくさんの星で宇宙をイメージさせたギャラクシー柄(宇宙柄)の服や、さりげなく星のモチーフをあしらった服などを、自分で作成したりリメイクしたりして、創意工夫を凝らしてきます」と話す。

宙フェスは、天体望遠鏡などを製造販売する光学機器メーカーが「ユーザーの裾野を広げたい」と、イベントのプロデュースを行う池側さんの会社に相談を持ち掛けたことからスタートした。池側さんは、アクセスの良い場所で、できるだけいろいろな層の人たちが参加できるイベントにしたいと、この宙フェスを企画した。

宙フェスでは天体望遠鏡による星の観察会や、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の技術者とロック・ミュージシャンの対談など、様々な領域を結びつける企画を展開している。数ある企画の中でも、第一回のイベントから大盛況となったのがハンドメイド作家たちによるマーケットである。

「インターネットで、宇宙や星をテーマに作品を販売している方々に声をかけて出店してもらいました。当初は1000人程度の来場者を見込んでいたのですが、予想をはるかに上回る3000人以上の人が押し寄せて、全ての作品があっという間に売り切れてしまうという事態になりました」と池側さんは振り返る。

マーケットのブースには、天然石を太陽系の惑星に見立ててつないだアクセサリーや、星空や宇宙の風景を描いたスマホケースなどが並ぶ。マーケットに来場する若い女性たちの中には、お気に入りの作家作品を購入するだけでなく、自らハンドメイドしたものを身に着ける人が多く、そうしたコーディネイトは運営スタッフの目を引いた。そこで第二回の宙フェスから登場したのが冒頭の池測さんの話にもあった、「宙ガールファッションコンテスト」である。宇宙や星空に興味を持つ若い女性たちによるファッションコンテストは、初めの頃こそ若い女性たちが参加者だったが、回を重ねるごとに、親子や男性の参加も増えるなど、参加者層の広がりを見せている。

「コンテストに触発されてか、天文ファンの中高年男性も、JAXAやNASAの作業服などを着て宙フェスに参加するようになりました。今では、会場全体が、お祭りを楽しもうという熱気にあふれています」と池側さんは言う。

宙フェス実行委員会は、今後宇宙ビジネスのベンチャー企業などにも参画してもらい、体験型のイベントを増やしていきたいという。「宙フェスは『センス・オブ・ワンダー』を感じる場でありたいと思っています。訪れるきっかけがファッションでもカルチャーでも、あるいはサイエンスへの興味でも、みんなで同じ空を見上げ、無限の宇宙を想像する。その不思議を感じてほしいです」と池側さんは語る。