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花が咲き乱れる島・礼文島

礼文島は、北海道の稚内市から直行便のフェリーで約2時間の距離にある。夏季は涼しく、楽しさに満ちあふれ、山々や海岸には高山植物が咲き誇る。美しい自然と豊かな海の幸が魅力的な島である。

礼文島(れぶんとう)は、北海道の北の端にある稚内市沿岸から西へ約60キロメートルに位置する南北に細長い島で、利尻島(りしりとう)と並んで日本海に浮かぶ。本州では標高2000メートル級の山でなければ見ることができない高山植物が海抜0mから見られることから、別名「花の浮島」と呼ばれている。

礼文島では、5月下旬から9月下旬かけて、約300種類もの高山植物が代わる代わる咲き乱れる。「レブンアツモリソウ」や「レブンウスユキソウ」など、礼文島でしか見ることができない固有種の花も多く、毎年これらを目当てにやってくる観光客も多い。

「自然豊かな礼文島の旅を満喫するなら、トレッキングがおすすめです」と礼文島観光協会の堀内光司さんは言う。トレッキングコースは7つあり、それぞれで美しい景色を楽しむことができる。最も高い礼文岳でも標高490mほどで起伏が穏やかなため、初心者でも気軽に島を散策できる。高山植物はもちろん、様々な種類の野鳥、時間帯によって多彩に表情を変える日本海、向かいの利尻島の海からそそり立つような利尻富士の雄美な姿は、訪れる人の心を惹きつける。

中でも多くの礼文島ファンに愛されているのが、島の南部エリアを歩く所要時間2時間程度の“桃岩展望台コース”である。「礼文島で最も多く花が咲き、急な上り下りが少ない初心者に優しいコースとなっています」と堀内さんは言う。礼文島の北部エリアを訪ねる“岬めぐりコース”では、日本海の大パノラマが広がるスコトン岬や、透明度が高いコバルトブルーの海と断崖絶壁のコントラストが美しい澄海岬(すかいみさき)など、景勝地が次々に現れ、壮大な景色が楽しめる。

ガイド付きのトレッキングツアーでは、知識豊富なガイドが植物や島の特色を丁寧に解説し、その時期に最適な花のスポットへ案内してくれる。天候が崩れることもあるので、トレッキングシューズと雨具、防寒具を準備して臨むのがいいだろう。

礼文島は海産物の宝庫でもある。近海は対馬暖流とリマン寒流が混じり合う栄養豊富な海域で、日本でも指折りの漁場となっている。一年を通して様々な海産物が楽しめるが、特に夏季は、名物である昆布やウニ、ホッケが採れるため活気に満ちている。島の東側に位置する、船舶漁業協同組合運営の「うにむき体験センター」では、夏季限定で、礼文島で採れた新鮮な生ウニを、自分で殻をむいて食べることができる。むきたてのウニのとろけるような甘みと心地よく鼻に抜ける磯の香りは格別である。

礼文島では、夏季は波が穏やかな明け方からウニ漁が始まる。そんな礼文島の日常の姿を見たいなら、早朝の海岸沿いを散歩してみるのもいいだろう。堀内さんは「散策している観光客が漁をしている島民に話しかけている姿をよく見ます。漁の光景は、私たちは見慣れていますが、観光客は珍しいと喜んでくれます。島民は親切で温かい人が多いので、分からないことがあったら気軽に聞いてみるといいですよ」と語る。美しい花や快適な気温に加え、島民たちの生き生きとした暮らしを垣間見ることで、礼文島への旅がさらに思い出深いものになるだろう。