Home > Highlighting JAPAN > Highlighting Japan July 2018 > 政策関連ニュース

Highlighting JAPAN

 

ジャポニスム2018とは何か?

日本文化を紹介する「ジャポニスム2018:響きあう魂」が、7月よりフランスで開催される。かつてない規模で行われるこの祭典の目的と内容について、増田是人国際交流基金ジャポニスム事務局長に伺った。

「ジャポニスム2018」の概要と目的をお聞かせください。

日仏友好160年を迎えた2018年は、明治元年から満150年の年であり、劇作家としても有名なポール・クローデル駐日フランス大使の生誕150周年でもあります。この様々な節目の年となる2018年の7月から2019年2月にかけて、フランス・パリを中心に開催されるのが「ジャポニスム2018」です。日本文化を紹介し、日本を再発見してもらうことを主旨としています。2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」につながる日本紹介事業の一つでもありますが、単なる文化の紹介に留まらず、インバウンド観光の促進も目的としています。

さらに、この企画を通じて世界の人々に知って欲しいのは、日本文化の根底にある美意識です。日本には古代より、異質なものや対立するものを取り込んで融合させる文化があります。こうした調和する文化を理解し価値観を共有できれば、現在の国際社会が抱える自国第一主義、国同士の対立といった問題解決のヒントにもなるかもしれません。日本の国益だけではなく、混迷する国際社会に貢献していくという野心的な目的も、この「ジャポニスム2018」にはあるのです。

「ジャポニスム2018」の見どころを教えてください。

100を超える会場で、50余りもの企画を行うため、すべてをご紹介することはできませんが、大きく分けて「展覧会」「舞台公演」「映像」「生活文化 他」という4つの柱を設けています。欧州で初公開となるものなど、チャレンジングな企画も多く、例えば展覧会なら、9月から10月にかけてパリ市立プティ・パレ美術館で伊藤若冲の欧州初の大規模な展示となる「若冲−<動植物綵絵>を中心に」展などを予定しています。若冲は近年日本で人気が沸騰していますが、フランスでは驚くほど知名度が低いので、どう受け止められるのかといった点でも非常に興味深い企画です。

舞台公演では、歌舞伎のような伝統芸能のほか、「セーラームーン」などのアニメを題材にした「2.5次元ミュージカル」という今の日本ならではのコンテンツも予定されています。このほか、回顧展としては稀な存命中の監督を題材にした「河瀬直美監督特集 特別展・特集上映」、日本食の作り方を学べたり、パリ市内のレストランで様々な日本酒と相性のよいメニューが食べられたりする「日本の食と文化」シリーズなど、実に幅広い企画をそろえています。

来場者の方には、特にどのような点に注目していただきたいでしょうか?

「日本食と言えばお寿司」、「美術と言えば浮世絵」など、日本文化に紋切り型のイメージを持っている方もまだまだ多いようです。しかし、日本文化はもっと多様で自由度が高く、クリエイティビティに富んでもいます。これらのことを「ジャポニスム2018」に訪れた方に感じていただくことで、この固定概念を打ち壊したいと考えています。

「ジャポニスム2018」は、日本にいるよりも日本文化を楽しむことができる祭典ですので、皆さんぜひフランス、そしてパリを訪れてください。