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Highlighting JAPAN

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コラム

日本人の長寿の鍵

和食(仮訳)



日本は世界一の長寿国であるとよく言われるが、具体的に何が長寿に貢献しているのだろうか。長寿食研究を専門とする医学博士の家森幸男氏によると、その答えは大豆、野菜、魚、米を組み合わせ、だしで味をつけることで塩分が控えめながらもうまみがある和食独特のヘルシーさだという。

和食によく登場する豆腐は大豆から作られており、その大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲンよりも弱いが、エストロゲンと似た働きをする植物エストロゲンの一種である。家森氏の研究でも、イソフラボンが血圧の上昇を緩やかにし、心筋梗塞、脳卒中、前立腺ガン、乳がん、骨粗相症のリスクを下げるという結果が出ている。例えば、ブラジルの更年期女性たちに1日あたり豆腐約半丁(40㎎のイソフラボンを含む)を3週間摂取してもらったところ、コレステロール値と血圧が下がり、骨からのカルシウム流出が抑えられることがわかった。そして、イソフラボンはビタミンA、C、Eなどの抗酸化栄養素と一緒に摂ると作用が保たれやすくなるので、野菜と一緒に食べるとより健康効果が高まると期待される。

また、魚と野菜をよく食べる地域では人々のコレステロール値が低く、肥満も少ないという。日本食と地中海食がこれにあてはまり、血管病の中でも心筋梗塞が原因での死亡率は日本と地中海地域が世界で最も低い。魚介類には血管の健康によい脂肪酸やアミノ酸が多く含まれるので血圧や血中コレステロール値を上げにくいことも健康に貢献しているという。

和食では米を主食として、大豆、野菜や魚をよく食べる。「大豆、野菜、魚、米を薄味で」が理想的な長寿食と言えるのかもしれない。

日本人の長寿の秘密

温浴(仮訳)

 

日本人のように体を洗ったあとお湯につかることを楽しむ伝統を持つ国民は、地球上を見渡しても他にほとんど例がない。温浴の効用について研究する国際医療福祉大学大学院リハビリテーション学分野の前田眞治教授は、家庭用の小さいお風呂から広い温泉リゾートに至るまで、この温浴文化こそが日本人の長寿の秘密のひとつであると考える。

温浴にはさまざまなメリットがあると彼は言う。ヒトは適度な刺激で体温を上昇させると、体温を一定の範囲内に保とうとする防御反応を示す。その際、免疫細胞のひとつNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化し、HSP(heat shock proteins)70と呼ばれる組織修復作用のあるタンパク質も産生される。つまり温浴により体温を上昇させることで、保温や免疫力増強、タンパク修復機能を高めることが可能となる。

日本の温浴として代表的、かつ名物でもある温泉の効能は、古来より肩こりや腰痛の鈍い痛みなどのリハビリや予防手段として知られてきた。体が温まると副交感神経が優位になるのでリラックスし、不眠対策にも良い。北欧でポピュラーなサウナは体を温めるという点では温浴と共通点が多いが、温浴には水圧によるマッサージ効果や各種ミネラルによるセラピー効果もある。

体を清潔に保つだけならば、どのような入浴法でも目的は果たすことができる。しかし日本式の温浴ほどさまざまな健康作用があるものはなく、専門家たちは、この健康的な温浴法がライフスタイルの一部として世界に広がることを期待している。



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