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Highlighting JAPAN

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地方の活性化

野菜を使ったクレヨンで地元の魅力を伝える(仮訳)

おやさいクレヨン vegetabo



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「青森には素晴らしい農産物がたくさんあるのに、なかなか県外にアピールできていないと感じていました。このプロジェクトを始めるきっかけは、幼い頃から絵を描くことが好きで、デザインの仕事に携わってきた私なりのかたちで、故郷に貢献をしたいと考えたためです」と語るのは、青森市のデザイン会社「デザインワークスSTmind」代表のキムラナオコさん。国内有数の農業地帯である青森の魅力を発信するため、昨年、野菜そのものの色を活かしたクレヨン「おやさいクレヨン vegetabo(ベジタボー)」を開発し、販売を始めた。

従来のクレヨンが持つ色の概念から離れ、野菜が放つ自然の色彩を主体にしているこのクレヨンは、「かぼちゃ」「ほうれんそう」「りんご」など野菜の名前がつけられている。

「同じ野菜でも一つ一つ色が異なります。そのときに獲れた野菜の色を、そのまま楽しんでもらえることが特徴です。青色がないことも野菜のクレヨンならでは。それも含めて野菜の色を楽しんでもらえれば」とキムラさんは話す。

原料はほぼ食品と同じで、ロウの代わりに精米の際に抽出される米ぬか油、そして食品添加物にも使われる顔料が使用されており、万が一子供が口にしてしまっても安全だ。実際に野菜のクレヨンを使っているという家族からは、「親子で野菜について楽しく話をする機会が持てる」という声が届くことが多いという。

野菜は可能な限り廃棄処分となる部分が使われる。「生産された野菜は、形が悪い・傷があるなどの理由から規格外商品として流通から外されたり、皮などのように加工する上で除かれたりし、4割は廃棄処分になると言われ、農家の方々が多額の費用をかけて廃棄しています。この廃棄処分となる野菜を再利用し、有効活用することで、資源や環境にも配慮した商品にしたいと考えています」とキムラさんは話す。

栗色は栗ペーストの製造時に廃棄される皮、山ブドウ色はブドウジュースの搾りかす、ネギは出荷時にカットされる上部の葉の部分、長いも色はとろろ芋を作る際に廃棄される皮を活用。長いも色のクレヨンが真っ白ではなく茶色を帯びているのも、長いも本来の色だからだ。

「今後はこのクレヨンを通して、地域の野菜と農家さん、子供たちが交流できるイベントができたらと思います。“おやさいクレヨン”を全国に送り出すことで、私が生まれ育った大好きな青森の街に新しいビジネスモデルを生み出し、雇用の創出や農業、産業、観光誘致などへの貢献を目指しています」と抱負を語るキムラさん。

さらには、「いつか、青森だけではなく、日本各地の野菜を使ったクレヨンを作りたい。産地によって野菜の色は異なりますし、その土地でしか獲れない野菜もあります。それらが集まれば、“日本の色”として、世界の子供たちに知ってもらうことができますから」と将来の夢は広がる。



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