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Highlighting JAPAN

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連載 47の物語

長野

眠れる山からの熱き湯(仮訳)



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長野県北部に位置し、1998年冬期オリンピックが開催された野沢温泉。30の独特な温泉と13の公共の外湯から成り、江戸時代からその名を知られてきた湯どころである。「湯仲間」と呼ばれる村民の組織が運営している公共の湯は朝6時から夜11時まで入ることができ、無料である。お湯は大変熱いが、もっとも有名な外湯「大湯」の他、一部の温泉には冷たい水の蛇口があるので温度を下げることが出来る。「熊の手洗い湯」は41℃か42℃で「ぬるめ」だ。

無料の入浴だとシンプルな入浴方式で、タオルや石けんなどはない。もう少し贅沢に温泉に浸かりたい人向きとして、有料の「ふるさとの湯」や「スパリーナ」には、裸で入る通常の温泉の他、水着着用で入る家族向きの (子供にも入りやすい温度の) 温泉もある。

外湯の源泉である「麻釜」の湯は90℃にもなり、「村の台所」としても利用されている。実際、街の多くの旅館はこの「麻釜」のお湯を使って朝食に出す温泉たまごを作っているし、住民たちは野菜を茹でたり、野沢温泉の名産である籠や小物を作るためにアケビのつるを柔らかくしたりする。「村の台所」は観光客には使えないが、自分で温泉卵を作ってみたい人は、街のどこにでもある温泉卵専用の小さな温泉に、自分の卵を入れることができる。出来上がるまでの20分ほどの時間は近くの足湯や温泉にちょっと浸かるのにはちょうどいい。

野沢温泉の豊かな温泉は近くにそびえる古い火山、毛無山からの恵みだ。美しい森林に覆われた山はいくつものスキーゲレンデもあり、全長10kmになるコースも備わっている。1,085メートルの標高差がある山は、スノーパークや子供の遊び場やスノーシューイングなど、誰もが楽しめる場所があり、街からゲレンデまでは動く歩道が繋がっていて無料で運んでくれるのでアクセスも便利だ。時期を合わせれば、日本の三大火祭りのひとつ、毎年1月15日に行われる「野沢温泉道祖神祭り」を見ることできる。巨大な木造の社殿を中心に社殿に火をつけようとする側と、守ろうとする側との白熱した攻防戦が繰り広げられるこの祭りを見逃すわけにはいかない。

野沢温泉は、春の雪解けが過ぎても、おいしい山菜やマウンテンバイク、夏になればハイキングやキャンプなどいろいろ楽しむことができる。秋には燃えるような紅葉が主役。国立公園にもなっている上ノ平高原のハイキングがおすすめだ。

食べ物と言えば、やはり郷土料理が一番だ。長野の名産品としてよく知られるものには、そばやまんじゅう、おやき (いろいろな具材の入ったまんじゅう) があるが、野沢温泉の日本食界への最大の貢献は「野沢菜」だ。伝統的な方法で漬け込んだ菜っ葉の漬け物は、今日では様々味のふりかけ、せんべい、アイスクリームにさえなっていて、温泉や湯の流れる音と同じくらいにおなじみのものとなっている。

温泉でリラックスするのもよし、雪山を滑りに来るのもよし、四季の自然を楽しみに来るのもよし。野沢温泉は一度は行きたい場所だ。



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