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Highlighting JAPAN

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連載 47の物語

宮崎

日本のゆりかごを訪ねる(仮訳)



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宮崎は九州の東海岸の大半を占める山岳県だ。南部のヤシの木は、この地域の亜熱帯気候を象徴するもので、古くから観光客を集めてきた。宮崎は高千穂という山間の町によって日本の歴史においても重要な位置を占めている。日本の神話では、太陽の女神、天照大神(あまてらすおおみかみ)の孫であるニニギノミコトがこの地に降りたと言い伝えられている。

130万人の観光客が訪れる高千穂は、宮崎でもトップの観光スポットだ。高千穂神社を訪れることは、この地を朝霧のようにとりまく伝説を知るのにはベストな方法だろう。杉の大木で覆われた神社に続く石段は真っ直ぐになっておらず、町の観光企画部の矢野鮎さんによれば、これは神社に祀られる神様への敬意を表しているのだと言う。斜めになっていれば帰り際の人々が神様に正面からおしりを向けずに済むと言うわけだ。境内の2本の杉の木は七五三縄で互いに結ばれていて、この木の周りを手をつないで3周まわったカップルは絆を強くすることができると言う。

高千穂には有名な「夜神楽(よかぐら)」という踊りがある。この見せ物は、33以上の場面から成り、夕方から翌朝まで続く。舞手たちは大きなお面を着け、太鼓や笛の伴奏とともに、天照が天岩戸(あまのいわと)の近くの洞窟に身を隠し、世界中が闇になったことで他の神々が彼女を引き出すためにいろいろ手を尽くす場面などを再現している。この全編は毎年11月から2月の間、その年の豊穣を祝うために行われるが、神社の神楽殿では毎晩8時に夜神楽のさわりを1時間の短縮版で見ることができる。

天照大神が隠れていたといわれる神聖な洞窟は、高千穂から北東に数キロのところにある天岩戸神社の近くにある。その洞窟には入ることも写真を撮ることも許されていないが、洞窟から岩戸川を挟んで向かいに主社のある天岩戸神社の神主が、洞窟のよく見える場所に案内してくれ、その重要性を日本語で説明してくれた。そこから歩いて10分ほどの場所にはもうひとつの洞窟があり、そこでは神々が天照を隠れ場所からなんとか連れ出す方法をあれこれ思案したと伝えられる。この洞窟の中には小さな天安河原(あまのやすかわら)神社があり、これまでお参りした人々の願いが込めて積み上げたたくさんの塔に囲まれている。

町の南部にある青碧の水をたたえる五ヶ瀬川は、素晴らしい景観の高千穂峡谷に流れている。阿蘇山からの溶岩が、約12万年前から9万年前に流れてできた大地を、川の水が削ることでこの見事な断崖を作り出した。この景色を堪能するには、手こぎの貸しボートに乗るのがよい。独特なかたちをした岩や、1991年環境省によって日本の滝百選のひとつに制定された高さ17メートルの真名井の滝を見ることができる。紅葉やこの地原産の木々の葉が渓谷に覆いかぶさるように生え、木々が赤やオレンジに色づく秋にはひときわ美しいと言う。山の清らかな空気と素晴らしい景観だけでも高千穂を訪れるには十分だが、何と言ってもいちばんの魅力は矢野さんの言うように「ここが日本が生まれた場所と言われていること」。まだ行ったことがないなら、今こそ行くときだろう!