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Highlighting JAPAN

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和食

グローバルな食市場の拡大を目指して(仮訳)

農林水産省山下正行氏インタビュー 



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世界無形文化遺産登録をきっかけに和食が世界から注目され始めている中、日本では官民が一体となって食文化、食産業のグローバル展開に力を入れている。農林水産省食料産業局長・山下正行氏に、グローバル市場における日本の戦略や取り組みについてお話を伺った。

――近年、世界各地で日本食ブームが起きていますが、世界遺産登録を機に見られる新たな動きや変化がありますか?

そもそもこのたびの世界遺産の登録は、私たち日本人が自らの文化を見つめ直し、後世に継承していくことを目的としていました。ニュースなどで大きく取り上げられたことにより国内での認知が高まり、和食への再評価に繋がったと手応えを感じています。同時に、世界の和食ブームとも重なったことは、日本の食にとってのビジネスチャンスでもあります。海外の日本食レストランの店舗数は増加傾向にあり、2013年には5万5千店、日本産農林水産物・食品等の輸出額は2013年に過去最高額である5506億円となりました。

――日本食文化の普及を目指す、政府が掲げる戦略について、具体的な施策や目標、実例等についてお聞かせください。

日本食文化の普及に取り組みつつ、日本の食産業の海外展開と日本の農林水産物・食品の輸出促進を一体的に展開することにより、グローバルな「食市場」を獲得していこうという戦略です。「Made FROM Japan」、「Made BY Japan」、「Made IN Japan」の3本柱の取組を一体的に推進する計画で、これらFrom、By、Inの頭文字を取ってFBI戦略と名付けました。

具体的には、「Made From Japan」とは世界の料理界で日本産食材を活用してもらうこと。「Made By Japan」は食文化・食産業の海外展開です。海外における人材育成のための講習会開催、日本国内での料理人留学生のためのビザ要件の緩和などに取り組んでいます。「Made In Japan」は日本産食材の輸出促進です。これらの実践により、日本の農林水産物の輸出額を2013年の5506億円から2020年には1兆円相当まで伸ばしたいと野心的な目標を掲げています。

――海外で日本食の認識が高まる中、今後の課題として挙げられることは何ですか?

私たちは、海外各地において現地の文化と融合しながらそれぞれの土地で日本食が進化していくことを歓迎しています。その一方で、我が国の食文化の一つである寿司や刺身など生食を取り扱うためには、「まな板を交換する」などの知見が必要であり、安全面・衛生面での情報発信が重要であるとも感じています。

――国内での食文化の普及については、どのような取り組みをされていますか?

ユネスコ無形文化遺産の登録を機に、日本食文化への理解を一層深めていただくため、国内での消費者や食関係者を対象とした日本食・食文化にかかわるセミナー、郷土食に関するシンポジウムの開催など、栄養バランスに優れた日本食を国内へ普及させるイベントを実施しています。また、未来を担う児童たちに伝統的な食文化である和食を継承してほしいと、和食の学校給食を推進しています。国内での一層の理解深化の上で、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に際しては、「おもてなし」の精神に則り、海外からのお客様へ日本食の魅力をお伝え出来るような国内の仕組みを構築していきたいですね。食べて美味しい、幸せ、そんな食の醍醐味を楽しんでいただきたいと心から思います。



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