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Highlighting JAPAN

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連載 47の物語

高知県

心からのおもてなし(仮訳)



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日本で四番目に大きい島、四国は、瀬戸内海を挟んで神戸、岡山、広島などの大都市の向い側に位置している。その四国の南側半分全体に広がるのが、豊かな自然を誇る高知県である。長く美しい太平洋岸と雄大な山々に加え、高知には四万十川が流れている。四万十川は「日本最後の清流」と呼ばれている。また高知は、1800年代後半に二つの藩を連合させて徳川幕府を倒し、明治という新しい時代に日本を導いたことで知られる武士、坂本龍馬の生誕地としても有名である。

高知の人は、訪れる人に対するもてなしの心とオープンさに定評がある。この気質は、漁師が海に出ている間に妻たちが開いたホームパーティーを起源とする、「おきゃく」と言われる高知独自の文化の影響によるものと言われている。主催者である主婦がゲストと宴会を楽しめるようにと料理はセルフサービスとなっていて、一枚の大皿に盛られるが、この習慣は皿鉢料理として知られている。「土佐の『おきゃく』実行委員会」委員長の上村嘉郎氏は、おきゃくの素晴らしい点は参加者の年齢や社会的地位にはこだわらないことだと言い、「通りがかりの者であっても参加しても構わない」のだと説明する。

この風習は今でも誕生日パーティーや結婚式などに受け継がれているが、観光客は植村氏の実行委員会が毎年3月上旬に開く大規模な催し「土佐のおきゃく」でそれを体験できる。9日間の催しの間、高知市中心部にある約1キロメートルに及ぶ商店街のアーケードが巨大な宴の場に変わり、訪問客は店の外に座って食べ物、音楽、踊り、そして高知伝統の宴会遊びなどを楽しむことができる。

言うまでもなく、高知の飲食店では一年を通していつでもおきゃくの精神を大切にしている。高知駅近くの居酒屋「旬家」に中野順子さんという女将がいる。四万十川で採れる海苔を使ったおいしい料理や軍鶏肉を使ったすき焼きが終わると、中野氏は客と地元伝統を楽しみ始める。そのひとつに、可杯(べくはい)という中に入っている酒を飲み干さないと置くことができないような形をした杯を使った、有名なおきゃく宴会遊びもある。「お客様が食事やお酒、おしゃべりに飽きたころにこの遊びをすると、再び活気づいていただけるのです」と彼女は語る。

観光客に対する高知の人のオープンは有名だが、高知城から歩いてすぐのところにあるひろめ市場に行くと、それがよくわかる。この屋内型フードコートは、席が自由であることが特徴で、料理や飲み物、にぎやかな会話を他の人と一緒に楽しむには最適である。地元の人は自分の好物を伝えたがり、高知の看板料理である鰹のたたき (鰹を火で軽く炙り、薄くスライスし、ニンニクで味をつけ、塩または醤油と酢で食べる料理) をぜひ食べてほしいという。

また、高知を週末に訪れると大規模な日曜市を体験することができる。この市は300年以上の歴史を持ち、庭園用品から手作りの日用品に至るまで様々な商品を置いた屋台が日曜ごとに立ち並ぶのが特徴である。高知市の南方、バスで約40分のところにある池公園で毎土曜日に開催される高知オーガニックマーケットは日曜市に比べると小規模で落ち着ける市である。有機野菜が主ではあるが、有機コーヒー、オーガニックコットンで作った衣料、その他様々な自然食品や手工芸品も売られている。

高知には、豊かな自然、新鮮な食べ物、心からのおもてなしの伝統があり、訪れる人はすぐに滞在を延ばしたくなる自分に気がつくことだろう!



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