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Highlighting JAPAN

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連載 47の物語

神奈川県

大山で悠久の歴史を体感する(仮訳)



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大山は素晴らしい山だ。標高がそれほど高くないこの美しい山は、伊勢原市の北部に位置し、丹沢大山国定公園内にある。この山のことを詳しく知るために、伊勢原市観光協会の鍛冶栄一事務局長にお話をうかがった。

大山は何世紀にもわたって信仰の対象となっており、これまでに多くの人々が参詣している。大山阿夫利神社は今から2000年以上も前に大山に創建された。「お参りを始めたのは武士たちですが、その後、職人や農耕民たちにも広まり、仕事で使う道具を清めるために山に来るようになりました」と鍛冶氏は語る。阿夫利 (あふり) 神社の名前は「雨降り」という意味なので、農耕民の雨乞い信仰の対象にもなっている。

ふもとから歩いて登ることも可能だが、登山者の大半はケーブルカーを利用する。バスの終点となる停留所「大山ケーブル」でバスを降り、楽しみながら参道を15分歩くとケーブルカー乗り場がある。ケーブルカーに乗って山腹を登っていくと、目の前にはのどかで美しい景色が広がる。

ケーブルカーは途中、少しの間「大山寺駅」に停車する。大山寺は755年に開山された。このお寺は境内の木々が色鮮やかに紅葉する時期が特に美しく、傾斜のきつい参道の石段の両端には見事な仏像がいくつも並んでいる。

ケーブルカーはさらに、山の中腹あたりにある大山阿夫利神社まで登っていく。そこからの景色は素晴らしく、江ノ島、三浦半島、千葉県をはじめ、50キロメートル以上も離れた東京スカイツリーまで一望できる。

阿夫利神社駅でケーブルカーを降りて90分登ると、山頂にある神社の本社にたどり着く。山頂から見渡す周囲の眺めは壮大だ。週末や秋の行楽シーズンには、ケーブルカーに乗るために長い列ができることもある。登山の計画を立てる際には考慮しておくとよいだろう。

大山地区には50を超える魅力的な旅館があり、各旅館には神殿が置かれている。これらの旅館は何世紀にもわたって大山を参詣する人々に宿と食事を提供しており、江戸時代 (1603~1867年) の宿坊から発展したものだ。ぜひ立ち寄って食事をしたり、一泊したりするとよいだろう。

職人がこまを作る様子を眺めながら、鍛冶氏は「こまは大山の名産品です」と教えてくれた。地元の職人の手によって300年以上、多様なサイズと色のこまが作られてきた。なぜ「こま」なのだろうか?「こまは日本語で『回る』ですが、『回る』には『ついて回る』という意味もあります。すなわち、こまを持っていると1年中、持ち主に金運と幸運が『ついて回る』のです」と鍛冶氏は言う。可愛らしい伊勢原市のイメージキャラクターの「クルリン」は大山こまの帽子をかぶっており、Tシャツ、缶バッジ、ぬいぐるみなど、数多くのおみやげ品に登場している。

大山は、山からのきれいでおいしい湧水で作った豆腐でも知られている。豆腐はあらゆる形態で多くの料理に使用されている。昼食や夕食の際には旅館に立ち寄って食べてみることをおすすめする。

空気はきれいで空は青い。水はきれいで澄んでいる。人気の観光地でありながら、のどかで平穏で静かだ。この神奈川の霊山で驚きの体験をしてはどうだろう。心身ともにリフレッシュし、自然と一体になれる場所だ。



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