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Highlighting JAPAN

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連載 47の物語

兵庫県姫路市

古い歴史へのつながり(仮訳)



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兵庫県姫路市は、日本の輝かしい過去の遺物にあふれている。来年の大河ドラマの主人公、黒田官兵衛は姫路ゆかりの人物である。黒田官兵衛やその祖先が姫路に残した足跡を訪ねた。実際、姫路駅からわずか800mの地点に、日本で最も有名な歴史の象徴の一つであり、世界遺産に登録されている姫路城がある。

現存する姫路城内は、1609年に藩主池田輝政によって築かれ、入念な修復を繰り返し維持されてきた。姫路城は現在、大天守の白い漆喰壁や屋根瓦の修理を目的とした平成の修理工事の最中である。

したがって、姫路城大天守の立派な建物は、足場の覆いで隠されている。その小型版ともいえる東、西、北西の小天守は、現在でも見学用に公開されている。また、姫路城の防衛策として1618年に追加された西の丸も公開されており、これは女性の居住地である長局を兼ねていた。

姫路城の最も顕著な特徴の一つは、その壁の光沢のある白さであり、白鷺城(はくろじょう:白サギ城)という親しみのこもった名前を持つ。伝統的な土佐と南蛮を混合した消石灰、貝灰、麻繊維、ダルスイリデア(海藻の一種)を使用したこの白漆喰が、かつて兵器用の窓として使用された壁の狭い開口部を除いた姫路城の外壁に使われている。

姫路城の白い建物部分は、開いた扇のような形をした石垣の上に建てられており、最も高い部分は約30mの高さがある。小塔、鉄板張りの門、堀が姫路城の強固な防衛力を完全なものとし、これら3つの建築要素は現在も当時の状態のままである。

この修理は2014年に完了する予定であるが、姫路城の管理組織は、大天守の外壁からわずか1mのところに修復作業を見学するためのエレベータを設置した。姫路城の最上階の高さと屋根の高さに止まり、姫路市を一望でき、大天守の外壁を間近で目にすることができる。

姫路城から北西にバスで30分のところに書写山がある。書写山の頂上では、苔に覆われた木々の根と観音菩薩像の輪郭に森の影が厳粛な沈黙を投じ、書写山で最もおなじみの仏教寺院圓教寺境内へと導く。

圓教寺は966年に開かれ、関西地方西部の僧侶たちの重要な修行の場であり、仏教巡礼の場となった。世界平和のために鳴らされる大きな銅鐘、博愛の鐘からの出発し、970年に創建され、焼失後1930年に再建された本堂の摩尼殿(まにでん)にて到着となる40分のコースがある。

摩尼殿の内部では、濃い茶色の木製の寺の室内にろうそくの明かりがゆらめく影を落とし、巡礼者は白い装束を身につけ、経を唱えている。摩尼殿の鐘の隣にかけられた華麗な銅ランプはその下の香炉から立ち上る煙によって青みをおびている。

木々に囲まれた静かな静寂の中に佇むお堂である壽量院(じゅりょういん)では、訪れた人々は精進料理を頂ける。地元の精進料理が伝統的な圓教寺の赤い漆器で出される。

姫路市にはその他にも、訪れた人々が茶室でお茶を頂ける西尾屋敷跡庭園「好古園」などの歴史的な場所や、姫路美術館が姫路市の楽しみに深みを加える。毎年秋には、勇ましい掛け声と太鼓の音とともに神輿をぶつけ合う勇壮な神事「灘のけんか祭り」が行われる。熱い心意気を今に伝える歴史と伝統の祭りに毎年10万人以上の人たちが酔いしれる。日本の壮大な歴史に深く結びついた姫路市は別の時代への入り口であり、都市生活の喧噪から逃れるための素晴らしい行き先である。



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