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Highlighting JAPAN

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連載 47の物語

岐阜県: 飛騨・高山地方でのサイクリング



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日本を訪問する多くの旅行者は、人々の伝統的な生活を垣間見たりこの極東の国の長い歴史を学んだりすることを希望している。しかしながら、東京を訪問するだけでは、農村地域、起伏の連なるカルスト台地や竹林など、日本の美を象徴する景観に接する機会はまずないだろう。飛騨・高山地方と呼ばれる岐阜県北部をサイクリングすると、旅行者が滅多に見ることのない、この地方の人々独特の生活の様子を目にすることができる。

飛騨・高山地方では、ユネスコ世界遺産に登録された白川郷における合掌造りの農家家屋(茅葺屋根家屋)をはじめとする、この地域の伝統と美しい木造建築を支えてきた木工文化が有名だ。高山は、江戸時代以前の由緒ある多くの木造建築が保存された日本でも数少ない街並みであることから、「小京都」とも呼ばれている。しかし岐阜県のこの地域では、雄大な北アルプス、長く連なる緑の渓谷、魅力的な田園風景など、壮大で自然豊かな景観が最も良く知られていると言ってよいだろう。

この地方を体感するための一つの方法は、「飛騨里山サイクリング」を利用したサイクリングツアーに参加することだ。飛騨里山サイクリングの本社は高山市北隣の古川の町にあるが、数年間の運営実績によって世界で最も利用されている旅行口コミサイトで何年も連続して最高評価を得ている。まさに森林、山岳、農村が連なる地域の中心にあることによって素晴らしいサイクリングが実現のものとなっている。この会社では、飛騨地方における人々の生活を知ることを目的とし、加えて工芸体験やハイキングを楽しむこともできるサイクリングツアーを提供している。

ツアーには、半日ツアーと、ランチおよびウォーキングの付く一日ツアーがある。当然天候は重要な要素なのでサイクリング参加者は雨に対する用意が必要だが、夏季の飛騨地方は概ね暖かく晴れた日が続き、雨はたまにしか降らない。このツアーは春から秋まで提供され(冬は豪雪地域となるため休み)、シーズン中の飛騨里山サイクリングは毎日忙しくツアーを運営している。

英語ツアーに対応できるガイドも何人かいるが、彼らはサイクリングのみならずこの地方の歴史と地理に詳しく、場合に応じてコース変更も可能だ。大人ばかりではなく子供の参加者も常時あるため、ツアー中のアクティビティーはあらゆる年齢層が楽しめるように工夫されており、またマウンテンバイクはどのような参加者にも対応できるようにすべてのサイズが用意されている。

サイクリング中は、休憩、景勝地への立ち寄り、地元の人々との会話など多くの機会が設けられている。この地方の閑静な雰囲気に浸り、農村の人々の生活を体感できるように、ゆったりとしたペースが保たれる。主なルートは上り坂を避けつつ、壮大な山岳風景を楽しむことができるように谷に沿ったものとなっており、ほとんどの道路は高低差がないため年配の方でも希望すれば参加可能。私たちのツアーガイドである松尾和久氏は、こう述べる。「当社では観光客向けの施設や場所を訪れることではなく、飛騨・高山地方における山村の人々の日常生活を知ってもらうことに重点を置いています。このため、当社のツアーはこの地方の生活を体感することを目標としており、ガイドもサイクリング参加者に対してそのような説明をするように努めています。従って、参加者は美しい景観を楽しみながら多くのことを学ぶことができるのです」

「飛騨里山サイクリングは間もなく事業開始後3年が経過しようとしており、幸いなことに当社のサービスは多くの旅行者にご利用いただいています。当社の提供するサービスには強い需要があるとの確信を持っており、将来的には日本各地で同様のサイクリングツアーを提供開始することを検討しています」とは飛騨里山サイクリング運営者のお話。

飛騨高山地方を始めとする岐阜県北部は交通の便が良いとは言えず、旅行には周到な準備が必要だ。しかし、この地方の景観とこの地域で得られる体験がそのような手間に値するものであることは間違いない。



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