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Highlighting JAPAN

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特集新たな視点で眺める東京

緑豊かな東京(仮訳)

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東京大学非常勤講師のジャレド・ブレイタマン氏は、2009年からブログ「Tokyo Green Space」を通して、公園やガーデニングなど、東京の様々な緑の姿を世界に発信している。ジャパンジャーナルの澤地治がブレイタマン氏に話を聞いた。

──なぜ、Tokyo Green Spaceを始めたのでしょうか。

ジャレド・ブレイタマン氏:私は2008年にアメリカから来日しましたが、最初、東京は非常に混雑していて、どうやって人々は自然に接しているのかと不思議に思いました。しかし、実際には、植物と自然が思いの外、東京には多いということが分かったのです。特に私の興味を引いたのが、非常に狭いスペースを使ったガーデニングです。この点で、東京の人は非常に創造的です。アパートのバルコニーで植物を育てる、商店の店先の歩道で鉢植えの花を育てるといったことが普通に行われています。地下鉄のある駅の男性用トイレに、ペットボトルを使ってツタが飾られていたのを見たときは、本当に驚きました。これらは、東京がいかに安全な都市であるかという証明でもあります。

私はこうした東京に関する新たな視点を多くの人とシェアしたいと考えて、ブログを始めたのです。

──ブログの反響はいかがでしょうか。

多くの外国人は、東京がすべて、渋谷のスクランブル交差点のような場所と思っています。そのため、東京の緑の豊富さに非常に驚いたというコメントが数多く寄せられています。海外からの問い合わせや執筆・講演の依頼も少なくありません。海外の人々は、大都市の東京で、人々がどのように自然と接しているのかに興味があるのです。

東京は残念ながら、1960年代以降、河川が埋め立てられ、その上に道路の建設が進みました。現在、建物も非常に多すぎる状態です。今から、巨大な公園を作ることは困難です。ただ、公的機関による緑を増やす努力は行われています。例えば、新宿区の新宿御苑に隣接して、昨年、江戸の水路をイメージした小川、様々な木や植物も植えられた散策路が整備されました。また、杉並区の区役所には4年前から毎年、ヘチマや朝顔などの植物を使って、建物の壁面を覆い尽くす、高さ20メートルを超える巨大な「緑のカーテン」が育てられています。これにより、近隣の家でも緑のカーテンを育てる人が増えています。

──ブレイタマンさんは、「東京ローカルフルーツ」にも関われていますが、これはどのような活動でしょうか。

東京ローカルフルーツは、商業目的ではなく、東京で収穫可能な果物について、人々の関心を高めることが目的です。ネットを通じた調査によると、東京では、柿、柚子、みかん、栗、銀杏など、実に30種類以上の果物が、庭、ベランダ、公園から収穫され、家族、隣人、友人など身近な人たちと食べられているのです。

私は友人二人と共に、今年6月、閉校になった小学校でなっていたハッサクを、区役所の許可を得て収穫して、マーマレードを作るイベントを行いました。イベントには約20名の人が集まり、マーマレード作りを楽しみました。食べ物は地域の絆を作るために非常に大切なものだと、このイベントを通じて強く感じました。

東京は、もっと「おいしく」、「ソーシャルに」、そして、「住みやすく」なる可能性があると思います。今後、世界各地でさらに都市化が進むと言われています。限られた空間の中で緑を増やすという東京での試みは、欧米や途上国の都市にとっても、大きな参考となるでしょう。

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