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Highlighting JAPAN

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連載|やまとなでしこ

女性自衛官としての矜持(仮訳)

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防衛省統合幕僚監部の栗田千寿2等陸佐は、昨年、国連東ティモール統合ミッション(UNMIT)に軍事連絡要員として派遣された。日本人女性自衛官が国連PKOに個人派遣されたのはこれが初めてであった。栗田2等陸佐にジャパンジャーナルの澤地治が話を聞いた。

──何故、自衛官になろうと思ったのでしょうか。

栗田千寿2等陸佐:高校生の時にあるきっかけで、自衛官という職業を知りました。自衛隊について調べると、女性にも門戸が開かれていることを知り、階級社会である自衛隊だからこそ、自分の努力次第で自己実現ができると思ったのです。入隊前は、様々なことにチャレンジしながら自分の将来像を見つけていこうという気持ちでいましたが、今でも、女性自衛官であることの意味を自問自答する日々が続いています。ただ、自衛隊で何をするにしても、自衛隊の一員として国のために働くのは、自分にとって極めて自然な選択だったと思っています。

──日本の自衛隊に占める女性の割合は約5%ですが、自衛隊の中で女性であることは意識されるでしょうか。

入隊以来、約9年は対空ミサイル部隊にいましたが、基本的に任務は男性、女性の区別はありません。演習場で顔を緑に塗って、背中にカモフラージュの草を付けて、銃を持って訓練をしたりすることも男性と一緒でした。3年ほど前には、部隊の中隊長として60数名の隊員を、2年間率いていました。訓練等で他の中隊と並んだ場合、唯一女性が指揮している私の中隊にどうしても人々の注目が集まります。そういった時に、女性が指揮する中隊が弱く見えないように、隊員にはきびきびと指示するように心掛けていました。隊員も私を支えようと一致団結していたように思います。

女性自衛官の価値の一つは、女性のもつ「母性」にあると思っています。部下の隊員は、日常の些細なことも気軽に話してくれましたし、そうした雰囲気づくりが部隊の活気につながっていました。自衛隊は男性社会だからこそ、女性らしさを失ってはいけないと思っています。

──国連の軍人連絡要員に派遣された東ティモールでの半年間は、どのような任務に就かれたのでしょうか。

任命された時、非常に光栄でしたが、私に務まるかと不安もありました。しかし、それ以上に、海外での任務は将来に役立つチャンスだと感じました。東ティモールではバウカウという町を中心に活動し、担当地域の町や村を訪れて、情報収集することです。そのために、警察、病院、学校の関係者や村長にインタビューを行い、政党や若者グループの動向など治安に関わる情報から、食糧、衛生、教育事情に至るまであらゆるレポート活動を行っていました。迷彩服を着ていましたが、私が女性ということもあるのか、現地の方々は、非常に安心して話してくれました。あと、「クリタ」という私の名前が、現地の言葉で「タコ」という意味だったのです。だから、タコのまねをして体をくねらせておどけてみせると、子どもも大人もみんな大喜びでしたね(笑)。

──帰国後、どのような任務に就いているのでしょうか。

ASEAN、ニュージーランド、オーストラリアといった国々との防衛交流を担当しています。今後も可能であれば、日本の自衛隊の活動を海外に紹介したり、他の国の方々と一緒に活動をしたり、国際的な分野に携わっていきたいと思っています。いずれにせよ、55歳の定年まで勤め上げたいですね。

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