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Highlighting JAPAN

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特集日本のテーマパークを支えるハードとソフト

映画の世界へ歩み入る(仮訳)

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東北地方の日本海岸に面する山形県にある庄内映画村は、「庄内を日本のハリウッドに」という目標のもと、そして、地元の人々の支援を受け、広大なオープンセットと資料館を擁して、アジア諸国からの観光客も含め、年間10万人以上が訪れる名所となっている。松原敏雄が報告する。

山形県鶴岡市の市街地から車で30分ほどの山間の大自然の中に、広さ88ヘクタールの庄内映画村オープンセットがある。周囲を森に囲まれ、晴れた日は遠くに月山を臨むロケーションに、主に江戸時代の農村や漁村、宿場町が再現されている。「僕は広大な敷地全体を舞台として捉えています」と宇生雅明庄内映画村社長は言う。「農村の丘の上に客席を作れば、大自然を舞台にした劇だって作れます。そうやって観光客を誘致しながら、地域の活性化につなげていきたいのです」

山形県は、時代劇映画のロケ現場となったり、1989年からは山形国際ドキュメンタリー映画祭が開催されるなど、映画と縁のある土地だ。庄内映画村オープンセットを運営する庄内映画村は、2006年に庄内地方をロケ地に設定した映画製作を支援するために設立され、ロケ地のアレンジやエキストラの手配を行った。その後も、様々な映画の製作に関わり、2008年に、庄内映画村が製作を支援した 「おくりびと」が2008年度の第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞すると、その存在は一気に世に広まった。そして、時代劇映画の撮影で使用されていた大規模なオープンセットを2009年に一般にも開放し、テーマパークとして運営を開始したのだ。

入場者は、オープンセットで地元のボランティアが演じる侍による殺陣のデモンストレーションを見ることだけではなく、殺陣の体験をすることもできる。また、庄内にちなんだ人形劇や昔語りを見たり、無料で貸衣装の着物を着ることも可能だ。

庄内映画村の特徴の一つは、地元の人々がオープンセットのスタッフやエキストラに、ボランティアで参加していることである。映画のエキストラ登録者は2500人を超えた。外国人観光客のための通訳ボランティアも50人が集まっている。庄内映画村と地元の人々は強く結びついているのだ。

これまで、庄内映画村が支援した劇場用の映画はすでに10本に達している。今年9月から10月にかけては、東日本大震災の被災地である宮城県南三陸町の小学校の小学6年生23名の子供たちが、庄内映画村で「絆」をテーマとしたドラマとドキュメンタリー4本の小作品を自らの手で作り上げた。この作品は10月10日に山形市で開催された山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映され、満場の拍手を浴びた。

「来年にはオープンセットの敷地内に1000席ほどの客席を設け、大規模な演武を行う予定もあります」と宇生氏は言う。「映画を核にして、みんなで楽しみながら地域全体が豊かになっていく。そんなシステムを作り上げたいと思っているのです」


INFORMATION
アクセス:庄内空港から車で資料館まで約30分、オープンセットまで約40分。JR鶴岡駅からは、資料館、オープンセットをつなぐシャトルバスが運行されている(運行は土日祝日のみ)。運賃は2000円。
入場料:庄内映画村オープンセット:大人1600円、中・高生1300円。小学生1000円。
庄内村映画村資料館:大人(中学生以上)500円、小学生以下無料。(ただし、オープンセットの見学者は250円引き)
営業日:オープンセットは4月中旬から11月下旬までは無休。2011年11月23日から2012年4月中旬までは休村。庄内映画村資料館は2011年12月16日から2012年3月15日まで休館。

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