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Highlighting JAPAN

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特集日本のテーマパークを支えるハードとソフト

テーマパークに隠された秘密を探す(仮訳)

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日本各地には、テーマや展示方法に様々な工夫を凝らしたテーマパークが数多くあり、それらは今や地域にとって重要な観光資源の一つとなっている。今月の巻頭特集では、日本のテーマパークのねらいや、人々を惹きつけるハード面、ソフト面での工夫を通じ、そこに隠された日本ならではのクリエイティビティを紹介する。

2011年9月、東京都に隣接する神奈川県川崎市に「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」がオープンした。藤子・F・不二雄(1933〜1996)は、「ドラえもん」、「パーマン」といった数々のマンガの作者だ。藤子氏の作品の中でも、未来から現代にやってきたネコ型ロボットを主人公とした「ドラえもん」は特に人気の高いマンガで、数多くのテレビアニメや映画が作られている。「ドラえもん」のテレビアニメは世界30カ国以上で放送され、マンガ本も10カ国以上で出版されている。

漫画家個人に焦点を当てたミュージアムとしては、兵庫県の手塚治虫記念館がこれまで知られていた。藤子・F・不二雄氏は手塚氏にあこがれて漫画家になり、そして、この二人は同時代を歩んだ。日本では、子どもだけではなく大人もマンガを読むようになった。そして、二人は日本のマンガ文化が世界に広がるのを後押しした。

ミュージアムの構想は、藤子氏の夫人である正子氏の「ずっと応援してくれたファンに、恩返しがしたい」という想いから始まった。そして、かつて遊園地であった敷地の一画に、5500平方メートルの敷地を持つミュージアムが、ドラえもんの誕生日である9月3日にオープンしたのだ。その基本理念には、「原画の魅力に直接触れ、作品を心ゆくまで味わい、大人も子どもも、『まんがの世界』の楽しさを感じてもらえるミュージアム」、「藤子・F・不二雄の『SF-すこしふしぎ』を体験できるミュージアム」などが挙げられている。

ミュージアムには原画、約5万点が収蔵・管理され、その中から約130点が展示されている。ミュージアムには、ファンタビューという手法で、「ドラえもん」のキャラクターが、マンガが出来上がる工程を紹介するという展示もある。また、藤子氏の仕事場を再現したスペースでは、実際に藤子氏が使っていた机、藤子氏が集めた本、プラモデル、海外からの土産など約1万点が展示されている。

さらに、このミュージアムには様々な場所に「秘密」が隠されている。例えば、エントランスの案内板には、「"ネズミ"の入場はご遠慮いただいています」と、さりげなく書かれている(ドラえもんはネズミが大嫌いなので)。また、トイレやエレベーターの表示にも、作品をモチーフにしたピクトサインが使われている。来場者は何度来ても、そうした「秘密」を探す楽しみがあるのだ。

「見逃している仕掛けがまだたくさんあるので、また来たいです」と、会社を休んでミュージアムを訪れた30代の来館者の女性は言う。「藤子先生の世界観を実際に見て、感じることができる素晴らしいミュージアムだと思います」


INFORMATION
アクセス:JR南部線および小田急線の登戸駅で下車。登戸駅からシャトルバスで約10分。
入場料:大人・大学生1000円、高・中学生700円、4歳以下500円(3歳以下は無料)
チケット購入:コンビニエンスストアの「ローソン」でのみ購入可能。日時指定の完全予約制。ミュージアムでのチケット販売は行っていない。
Website:http://fujiko-museum.com/english/

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