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Highlighting JAPAN

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国際森林年

屋久島での一週間(仮訳)

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屋久島は周囲130kmほどの小さな円形の島で、九州最高峰の宮之浦岳(1936m)をはじめとする山々が46座もそびえている。亜熱帯域にありながら気温は標高が高くなるにつれて下がり、山頂部は亜寒帯の気候となる。そのため森の植生は標高によって大きく変化し、亜熱帯植物から亜高山帯植物までが幅広く分布している。この特異な生態系と生物多様性が高く評価され、屋久島は1993年に世界遺産(自然遺産)に登録されている。島の90%を占める森には日本の植物種の7割以上となる1500種が生い茂り、屋久島だけに自生する固有種も約40種に及ぶ。

そんな屋久島で、9月1日から7日までの1週間にわたって「日豪環境ボランティアプログラム」が実施された。これは(社)国土緑化推進機構の助成事業として2006年から始まった日豪交流の環境保全活動である。今年は、国際森林年にあわせ、日本でも有数の森林がある屋久島が活動場所に選ばれた。参加したボランティアは、オーストラリアから6名、日本から14名の計20名である。

参加者は屋久島の自然環境の保全や観察を精力的に行った。例えば、増えすぎた鹿の食害から照葉樹林を守るネットの設置、固有種の松である「ヤクタネゴヨウ」の林での下草狩り、樹齢1000年以上の屋久杉を含む原生林が茂るヤクスギランドの自然観察などだ。また、絶滅危惧種であるアカウミガメの産卵地での孵化調査も行った。「こんな豊かな自然は今まで見たことがありません。島の人もフレンドリーで、素晴らしいですよ。普通の旅行では絶対に体験できない様々な活動ができて、本当に来てよかった」と日豪環境ボランティアプログラムに2年連続で参加しているオーエン・メネーさんは言う。

日本人参加者の一人、堀田貴昭さんも「自然のためにも自分のためにもなる貴重な体験でした。多くのことをみんなで理解し合い、森と海を今までとは違う目線で見られるようになったのは大きな収穫です」と述べた。「鹿の食害を防ぐネットの中の植生がどう変化するか、数年後にぜひまた島を訪れて確認したい」という声も数多く聞かれた。

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