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Highlighting JAPAN

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特集世界で活躍する日本人女性

活躍する日本人女性(仮訳)

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近年、企業の経営者や国際的な組織のエグゼクティブとして活躍する日本人女性が増えている。そうした代表の一人が、国際的なエグゼクティブ・サーチ企業であるコーン・フェリー・インターナショナルの米国本社取締役を務め、2008年にビジネス・ウィーク誌により「世界で最も影響力のあるヘッドハンター・トップ100人」に唯一日本人として選ばれた橘・フクシマ・咲江G&S Global Advisors社長だ。ソニー、花王等の女性初の社外取締役を務め、現在、大手タイヤメーカーのブリヂストンや大手食品メーカーの味の素の社外取締役も務めるフクシマ氏に、ジャパンジャーナルの澤地治が話を聞く。

──日本のビジネスの世界で人材の活用に対する意識は、どのように変化しているでしょうか。

フクシマ氏:ここ2年程、日本企業は、性別、国籍、年齢に関わらず優秀な人を活用することに熱心になっています。多様な人財(10年前より資産としての人という意味でこの字を使っています)を活用しなければ、変化するグローバル市場で生き残ることができないと企業が考え始めたからです。ある先進的な大手家電メーカーでは、10年程前に多様性推進本部を設けて、女性社員の積極的な経営参画を進めました。すると、洗濯機などの家電の製品開発に女性の意見が反映されるようになり、その企業の家電製品の売り上げが伸びました。それは、日本人の家庭では、そうした家電の購入を決めるのは妻であることが多いからです。最近では同様の活動をする企業が増えてきました。

──日本企業は終身雇用が特徴と言われてきましたが、それも変わってきているでしょうか。

私がエグゼクティブ・サーチの仕事に関わり始めた1990年代初頭は、多くの日本人にとって、企業は人生を託して働く場所という意識が強く、転職に抵抗感がある人が殆どでした。しかし、近年は、転職も一般的化し、大企業の中にも、外部から幹部層のエグゼクティブを雇うということが始まっています。

私が担当したサーチ案件でも、日本の大手エネルギー会社から、「女性の部長を雇いたい」という依頼があり、日本の大手飲料メーカーと外資系の化粧品メーカーからお二人の日本人女性をご紹介し、ご活躍になりました。また、大手百貨店から洋菓子メーカーの社長へ転職された女性は、営業改革を実行し、企業の業績を上げました。私の個人的な交流の中でも、厚生労働省から大手化粧品メーカーの資生堂に入社し、現在、副社長を務める岩田喜美枝氏や、現在の経済産業省から大手飲料会社のサントリー取締役に就任し、現在は参議院議員の川口順子氏など官民の転職を経験している有能な女性も増えています。これから、日本企業で重要なポジジョンに就く女性は、さらに増えていくでしょう。

──フクシマ社長は経済同友会の副代表幹事として人材育成・活用委員会委員長を務めていらっしゃいますが、その役割をお教え下さい。

経済同友会は「グローバル人財の育成」に力を入れています。グローバル人財とは、激変するグローバル市場の中で、活躍できる人のことです。委員会では現在、このグローバル人財育成のための提言をとりまとめています。今、専門家からのヒアリングや委員会メンバーとの議論を通して課題を検討中ですが、来年には、国、企業、家庭等で優先的に実行すべき対策の提言を作る予定です。

私は、グローバル人財とは、「外柔内剛」の人だと思っています。「外柔内剛」は、英語では「An iron fist in a velvet glove」が近いでしょう。「外柔」とは、多様な価値観に柔軟にしたたかに対応する能力です。「内剛」とは、自分の核となる信念の強さです。市場のグローバル化が進み、企業が多様な価値観に対応しながら、国際競争を生き抜かなければならない中、「外柔内剛」こそが、グローバル人財には必要であると思っています。

──そうした「外柔内剛」の日本人女性の例として、最近、印象に残った人はいますでしょうか。

サッカー女子日本代表は、「外柔内剛」の良い例です。ワールドカップの欧米代表の選手の大半は、日本代表の選手よりも、体格が大きかった。しかし、日本代表は、そうした体格差に対応するために、良く動き、細かくパスを回すといった戦略を取りました。これが「外柔」です。そして、絶対に負けないという強い信念を持っていました。これが「内剛」です。日本代表は「外柔内剛」であったので、あのような大きな国際舞台で優勝出来たのだと思います。

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