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January 2024

日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議及び関連行事の実施

日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議記念撮影 写真提供:内閣広報室
  • 日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議の様子
    写真提供:内閣広報室
  • セッション1に臨む岸田文雄内閣総理大臣 写真提供:内閣広報室
  • セッション2に臨む岸田文雄内閣総理大臣 写真提供:内閣広報室
  • 12月18日に開催された、岸田文雄内閣総理大臣夫妻の主催で開催されたガラディナーの様子
    写真提供:内閣広報室
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日本は1973年に世界に先んじてASEANとの対話を開始し、幅広い分野で友好協力関係を構築・強化してきた。昨2023年は日本ASEAN友好協力50周年の歴史的な節目であり、12月16日から18日の間、東京で日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議(以下特別首脳会議)及び関連行事が実施された。その概要と成果を以下に紹介する。

日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議及び関連行事

特別首脳会議では、日本の岸田文雄内閣総理大臣が、同年のASEAN議長国であるインドネシアのジョコ・ウィドド大統領と共に共同議長を務め、ASEAN加盟国の首脳のほか、東ティモールの首相(オブザーバー)、ASEAN事務局の事務総長等が参加した。

日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議の様子 写真提供:内閣広報室

特別首脳会議は二つのセッションに分かれ、セッション1では、半世紀に亘る日ASEAN関係のレビューを行い、また「平和と安定のためのパートナー」としての関係強化や、地域・国際情勢について意見交換を行った。さらにセッション2では、「世代を超えた心と心のパートナー」及び「未来の経済・社会を共創するパートナー」を議題として、さらなる協力の強化について議論した。

セッション1に臨む岸田文雄内閣総理大臣 写真提供:内閣広報室
セッション2に臨む岸田文雄内閣総理大臣 写真提供:内閣広報室

歴史的な節目となった今回の特別首脳会議では、日本とASEANが長年にわたり築き上げてきた「心と心」の繋がる信頼関係を基礎に、将来のための新たなビジョンを示す「日本ASEAN友好協力に関する共同ビジョン・ステートメント」と、幅広い具体的協力を示す「実施計画」を成果文書として採択し、日・ASEAN関係を更に強化していくことで一致した。

■特別首脳会議及び関連行事の日程

12月16日 岸田文雄内閣総理大臣夫妻主催晩餐会
12月17日 日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議
共同議長記者発表
東京タワー点灯式典
ガラディナー*
12月18日 アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳会合
日本経済団体連合会**・日本商工会議所***共催昼食会

■12月16日に開催された晩餐会での岸田内閣総理大臣挨拶(抜粋)

御列席の皆様、日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議を明日に控え、皆様をお迎えできることを光栄に思います。(中略)本日は、その礎を土台に、次の50年に向け新たなステージに深化させるべく、特に三つの具体的なアクションを示したいと思います。

(1)世代を超えた心と心のパートナー
日ASEAN関係の核心は、何と言ってもお互いの「信頼」です。そしてその信頼を裏打ちするのは、苦難のときも、一貫して共に歩んできた歴史の重みです。こうした「心と心の繋がり」を、次の世代に繋げていきたいと思います。
そのため、今後10年で1千万人以上が受益する包括的な人的交流プログラム、「次世代共創パートナーシップ」を新たに立ち上げ、また、若手ビジネスリーダーなどの、双方向の交流を更に推進させます。

(2)未来の経済・社会を共創するパートナー
一か国では解決困難な複合的危機の時代において、日本とASEANが、互いの強みを持ち寄り、強固な信頼関係の下で、解決策を見いだす。互いの活力を相互に環流させて更なる活力を生む強い経済をつくり、幅広い中間層が夢をつかめる社会と経済を、「共創」するパートナーとして、共に成長します。
そのため、連結性強化、アジア・ゼロエミッション共同体構想の実現を含む気候変動対策、中小企業・スタートアップ支援を重点に官民の連携に取り組みます。オファー型協力などのODAの新しい取組も活用し、民間投資を一層後押ししていきます。
ASEANが世界の中心的な自動車生産・輸出ハブであり続けるための戦略を協力して策定・実施する、「日ASEAN次世代自動車産業共創イニシアティブ」を立ち上げます。

(3)平和と安定のためのパートナー
日本とASEANが変わらず追い求めてきたものは「平和と繁栄」です。よりよい経済・社会が共創され、広がることで、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序はより確固たるものとなります。インド太平洋地域の平和と繁栄、そして「人間の尊厳」が守られる世界を共に創っていきましょう。
そのため、「ヒロシマ・アクション・プラン」に基づく核軍縮・不拡散、法制度整備支援を含む司法分野協力、女性・平和・安全保障、サイバーセキュリティ、防衛交流・協力、政府安全保障能力強化支援を進めたいと思います。皆様、私は、こういった考えと確信をもって、明日の会議に臨むつもりです。ここに集まった友人同士として、後世に残る未来のビジョンを世の中に示しましょう。

さて、お堅い話はここまでです。どうぞ、美味しい料理と共に、楽しいひとときをお過ごし下さい。ここで、皆様のご健康とご多幸、日本とASEANの友情が未来に向けさらに発展していくことを祈念して、共に杯を上げたいと思います。乾杯!

12月18日に開催された、岸田文雄内閣総理大臣夫妻の主催で開催されたガラディナーの様子 写真提供:内閣広報室

「日本ASEAN友好協力に関する共同ビジョン・ステートメント」の概要

特別首脳会議の成果文書として採択された「日本ASEAN友好協力に関する共同ビジョン・ステートメント」では、日本とASEANは、互いに共有された価値や原則が確保され、全ての国が平和及び繁栄を追求でき、民主主義、法の支配、良い統治並びに人権及び基本的自由の尊重の原則が守られる世界をビジョンとして掲げている。また、相互信頼に基づき、ASEAN一体性と中心性を支持しつつ、次の3つの柱の下で、互恵的な包括的戦略的パートナーシップを強化していくことが記されている。

  1. 世代を超えた心と心のパートナー
    日ASEANパートナーシップの基盤である、相互信頼、相互理解、相互尊重の「心と心」の関係をさらに育むことにコミット。若者や人的交流、知的交流の強化。
  2. 未来の経済・社会を共創するパートナー
    多様、包摂的、強靭、自由、公正、豊かで持続可能な経済社会を共創。共通の経済的・社会的課題に共同で取り組む。質の高いインフラによる連結性やサプライチェーン強靱性・産業競争力の強化、持続可能なエネルギー安全保障・エネルギー移行の促進。
  3. 平和と安定のためのパートナー
    自由で開かれたインド太平洋の促進、安全保障協力の強化、核なき世界に向けた核軍縮・不拡散、法の支配等の促進、WPS等の促進。

■特別首脳会議を終えた、日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議共同議長記者発表における岸田文雄内閣総理大臣発言(抜粋)

日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議を成功裏に終えました。まずは、共同議長であるジョコ大統領はじめ各国首脳及び代表団の皆様に感謝申し上げます。
歴史的節目に相応しい充実した議論を行い、成果文書として、「共同ビジョン・ステートメント」と「実施計画」を採択しました。

「共同ビジョン・ステートメント」は、日ASEAN関係の将来の方向性と、新たな協力の姿を示します。「信頼のパートナー」との副題のとおり、半世紀にわたり築かれた「信頼」こそが、我々の関係の根幹をなすものです。

全ての国が平和と繁栄を追求でき、民主主義、法の支配、良い統治、人権と基本的自由の尊重といった原則が守られる世界、これが我々の目指す世界のビジョンです。(中略)

今回の50周年記念会合は、日本とASEANが、これまでの歩みを振り返り、互いの「今」を見つめ、共通の未来について語り合う最高の機会になりました。その集大成である本日、将来の協力の姿を世界に力強く示し、次の50年に向けて新たな一歩を共に踏み出せたことを誠に喜ばしく思います。そして、この信頼の絆を、しっかりと次世代に繋いでいきたい、そのように心から思います。

注記: 本記事は外務省の了解の上、同省の公表資料に基づき作成している。

* 主に東南アジアなどの国々で、クリスマスなどの特別な日に供される特別なディナー。
** 1946年に設立された、日本の大手企業等を中心に構成されている経済団体。
*** 1878年に設立された、日本各地の商工会議所を会員として構成されている経済団体。