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January 2024

テレビドラマ「おしん」のロケ地となった銀山温泉の雪景色

  • 海外からの観光客で賑わう冬の銀山温泉
  • 100年以上前からの佇まいを残す温泉街 Photo: 尾花沢市役所
  • 当時の面影のままのガス灯
  • 物語の世界に迷い込んだような雪景色
海外からの観光客で賑わう冬の銀山温泉

朝の連続テレビ小説「おしん」*のロケ地ともなった銀山温泉。1910年頃から1930年代の間に建てられた旅館が、銀山(ぎんざん)川の両岸に軒を連ねる旅館街だ。情緒に満ちた冬の雪景色について銀山温泉組合の区長・笹原謙一郎(ささはら けんいちろう)さんに話を伺った。

1983年4月から1984年3月にかけて放送された朝の連続テレビ小説「おしん」。第2話で、80代になった主人公おしんが家族に行先を告げずに家出同然で訪れた先が山形県の雪深い温泉地。そこから自らの人生を振り返る物語が始まっていく。物語展開のスタートのロケ地が銀山温泉だ。雪の銀山温泉でのシーンの数々は印象的だ。また、少女のおしんが働く母を訪ねるシーンのロケ地も銀山温泉だ。

「おしん」は、約300話の長編テレビドラマながら、世界60か国以上で放送され、人気を呼んだ。今でもおしんの面影をたどるために海外からの大勢の人々が訪れるという。

100年以上前からの佇まいを残す温泉街 Photo: 尾花沢市役所

笹原さんは言う。「世界各国で『おしん』の放送がされ、ロケ地となった銀山温泉の名前が国際的に知られるようになりました。今は訪れた方が更にSNSで広めてくださるので、いつの間にか海外のお客様が増えました」

1月、2月は特に海外からのお客様でにぎわう。ノスタルジックな街並みにしんしんと白い雪が積もる中、温かみのあるオレンジ色のガス灯の灯りが浮かび上がる情景に魅了される。

当時の面影のままのガス灯

「海外から訪れる方は、雪を見たことのない地域の方も多く、特に夜の景色をきれいだと感じてくださるようです。アニメの『千と千尋の神隠し』に出てくる屋台街に重なるという方もいます」

2001年に公開された宮崎駿監督の日本の長編アニメーション映画「千と千尋の神隠し」は、国際的な賞を受賞するなど世界的に評価される作品。映画の舞台は特定のモデルはないとされるが、この映画に出てくる街並みの雰囲気が銀山温泉と印象と似ていると愛好家が訪れるという。

物語の世界に迷い込んだような雪景色

銀山温泉は、日本の本州最北、東北地方の日本海側に位置する山形県尾花沢(おばなざわ)市にある。ここは、15世紀に銀の採掘が始められ、17世紀前半に当時の徳川幕府直轄の「延沢(のべさわ)銀山」として開発され、大変にぎわった地だ。銀山を開発する折に温泉が見つかり、銀山温泉の名はこの銀山に由来するとされる。

笹原さんはこう説明する。「銀山温泉が今のような街並みになったのは、実は1910年代以降です。銀山川の洪水により、当時の建物がかなり被害を受け、その後、大工職人や左官職人、建具職人が競い合って再興し、今のような洋風木造多層の建築物に生まれ変わりました」

その際にガス灯や石畳の沿道、橋の整備なども行い、現在の銀山温泉の姿になったそうだ。

「雪の季節でも、お越しいただきましたら、ぜひ散策をしてみてください。石畳ですので、足元はすべりにくい冬用ブーツなどを履かれた方がよろしいかと思います。ガス灯、街並み、夜景、雪の温泉街など、冬の情景をぜひ心に刻んでいただければ幸いです」

* 1983年4月から1985年3月にかけてNHKで放送されたテレビドラマ。貧しい農家に生まれた少女・おしんの、近代から戦後、現代までの生き様を描いた作品。日本では、放送時、1年間の平均視聴率は52.6%、さらに最高視聴率62.9%(11月12日)と高い数値を記録。海外でも放映され、一部の国では高視聴率となった作品。