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August 2023

日本茶の産地で日本茶のおもてなしを楽しめる道の駅

  • フォーレなかかわね茶茗舘のたたずまい。近くを流れる大井川、緑深い山々の自然に溶け込むような素朴でぬくもりのある建物が特徴的。 Photo: フォーレなかかわね茶茗舘
  • フォーレなかかわね茶茗舘の近隣の茶畑。町のあちこちに茶畑が点在し、のどかで美しい光景が広がる。
  • 川根茶の茶葉。一般的な緑茶は摘んだお茶の葉を加熱し、揉み、乾燥させて作られる。 Photo: フォーレなかかわね茶茗舘
  • 人気の川根茶の煎茶を楽しむ日本茶セット。茶葉は「やぶきた」か「おくひかり」の2品種から選べる。 Photo: フォーレなかかわね茶茗舘
  • 地元のひのきの無垢材を使った木の香り漂うお茶室からの日本庭園の眺め
  • 最後の一滴まで注ぐことがおいしく淹れるコツ Photo: フォーレなかかわね茶茗舘
  • 川根茶と、地元の特産品が並ぶ「緑のたまてばこ」の店内 Photo: フォーレなかかわね茶茗舘
フォーレなかかわね茶茗舘のたたずまい。近くを流れる大井川、緑深い山々の自然に溶け込むような素朴でぬくもりのある建物が特徴的。Photo: フォーレなかかわね茶茗舘

日本有数の銘茶、「川根茶」の産地として知られる静岡県川根本町(かわねほんちょう)。この町の道の駅は、地元産のお菓子を添えた日本茶のおもてなしが体験できることで好評だ。

フォーレなかかわね茶茗舘の近隣の茶畑。町のあちこちに茶畑が点在し、のどかで美しい光景が広がる。

静岡県の中央部に位置する川根本町の『フォーレ*なかかわね茶茗舘(ちゃめいかん)』は、川根茶の歴史や、お茶に関する知識を深めつつ、くつろいで楽しめるコミュニティエリアとして活用される道の駅だ。館長の後藤泰久(やすひさ)さんは町の特産品である川根茶の魅力を次のように説明する。

春先に伸びた新しいお茶の葉。これを摘んでお茶に加工したものを新茶と呼ぶ。 Photo: フォーレなかかわね茶茗舘

「何といってもおいしいこと、これにつきます。この町は、北に位置する南アルプスを源とした大井川の上流域に位置し、昼夜の寒暖差が激しく、また山間のやわらかな日射、そして大井川の川霧など、良質なお茶を栽培する好条件に恵まれています。加えて、全国規模の日本茶のコンクールで受賞歴を重ねる熱心な生産者さんが多数おられ、そうした努力で良質なお茶が作られ続けています」

川根茶の茶葉。一般的な緑茶は摘んだお茶の葉を加熱し、揉み、乾燥させて作られる。 Photo: フォーレなかかわね茶茗舘
人気の川根茶の煎茶を楽しむ日本茶セット。茶葉は「やぶきた」か「おくひかり」の2品種から選べる。 Photo: フォーレなかかわね茶茗舘

年間利用者数は、新型コロナウィルスの感染拡大の影響前(2018年以前)で平均1万5000人ほどだ。地域住民を中心に県内外からの観光客が続くが、海外から訪れる人たちも増えてきているという。中でも日本庭園を眺められるお茶室で、地元の銘菓と日本茶でもてなす呈茶(ていちゃ)サービスは、希少な高級銘柄を有することでも知られる川根茶を廉価(れんか)で気軽に楽しむことができると好評だ。

茶室にてレクチャーを受けながら日本茶体験 Photo: フォーレなかかわね茶茗舘
地元のひのきの無垢材を使った木の香り漂うお茶室からの日本庭園の眺め

「川根茶の本当のおいしさを知っていただきたく、また、ご家庭でも川根茶を楽しむことができるように、日本茶の"淹(い)れ方の基本"をお伝えしています。急須に茶葉を入れ湯に浸して煎じていただきます。一煎(せん)め、二煎め、三煎めと徐々にお湯の注ぎ方を変えて温度調節したり、茶葉を蒸らす時間も変えたりすることで、旨みや香りなどの味の変化を楽しみます」と後藤さん。さわやかな味わい、馥郁(ふくいく)たる茶の香り、そしてまろやかでコクのある旨み。静かなお茶室で、茶葉からていねいに入れて、川根茶の複雑なおいしさを感じとることに集中する時間。産地でいただくお茶の味は格別で、貴重な体験となるだろう。

最後の一滴まで注ぐことがおいしく淹れるコツ Photo: フォーレなかかわね茶茗舘

月に一度、地元の有志らによる川根茶の普及イベントも継続して開催している。優秀な生産農家や茶商などの専業者、地元の菓子店などが参加。外の芝生広場では手打ちそばや出来立てパンやお弁当、雑貨などのマルシェの出展もあり、終日にぎわうという。

「川根茶の普及に努める元気な地元の人たちに出会えます。ここから北へ向かえば、寸又峡(すまたきょう)の「夢の吊橋」、大井川鐵道の「奥大井湖上駅」など、人気の観光スポットがありますが、旅の途中にぜひ、おいしい川根茶で一服しにお立ち寄りください。町の元気な主婦たちが中心となって運営するお土産処『緑のたまてばこ』では特産品について話がはずむこと、間違いなしです」

川根茶と、地元の特産品が並ぶ「緑のたまてばこ」の店内 Photo: フォーレなかかわね茶茗舘
地元の生産者の解説つき呈茶イベントの様子 Photo: フォーレなかかわね茶茗舘

* フランス語で森を意味する「forêt」が由来という。