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July 2023

おりもの感謝祭一宮七夕まつり

  • 見どころの一つである真清田神社の見事な七夕飾り Photo: おりもの感謝祭一宮七夕まつり協進会
  • 夏の空にかかる天の川銀河から生まれた七夕伝説
  • 日本有数の七夕祭り Photo: おりもの感謝祭一宮七夕まつり協進会
  • 開催当初から行われている御衣奉献大行列 Photo: おりもの感謝祭一宮七夕まつり協進会
  • 見どころの一つであるコスプレパレード Photo: おりもの感謝祭一宮七夕まつり協進会
見どころの一つである真清田神社の見事な七夕飾り Photo: おりもの感謝祭一宮七夕まつり協進会

日本では、夏になると各地で星をまつる行事が起源の「七夕(たなばた)祭り」が行われている。その中でも、多くの人々でにぎわう愛知県一宮市(いちのみやし)で行われている「おりもの感謝祭一宮七夕まつり」を紹介する。

日本では、古来、旧暦*7月7日の夜に,天の川の両岸にある牽牛星(けんぎゅう星。わし座のα星アルタイル)と織女星(しょくじょせい。こと座のα星ベガ)が年に一度だけ相会するという古代中国から伝わった伝説に基づいて,星をまつる行事を行い、「七夕祭り」と称した。牽牛星を「彦星(ひこぼし)」、織女星を「織姫(おりひめ)」とも、日本では呼んでいる。

言い伝えによると、天界の牛飼いである彦星と、天界で織物をしていた織姫が、恋に落ち、それぞれの仕事を怠るようになった。織女が布を織らないため、機織り機にはホコリがつもり、天界には新しい布が供されなくなってしまった。業を煮やした天帝が二人を引き離し、1年に1度、7月7日の夜だけ天の川を渡って、会うことを許したという。この伝説に基づき、日本では、二星が会合する7月7日(七夕の日)にあわせて,人々が、子女の学問・技芸の上達などの願い事を書いた短冊を竹や笹に吊るして星をまつる風習が浸透し、七夕祭りとしても行われるようになってきたとされる。

夏の空にかかる天の川銀河から生まれた七夕伝説

現在でも日本各地では、夏に様々な七夕祭りが行われている。中でも織姫と縁が深い有名なお祭りが、愛知県一宮市(いちのみやし)で行われる『おりもの感謝祭一宮七夕まつり』である。

日本有数の七夕祭り Photo: おりもの感謝祭一宮七夕まつり協進会

おりもの感謝祭一宮七夕まつり協進会事務局の方に祭りの来歴を伺った。

「『おりもの感謝祭一宮七夕まつり』は、織物を生業としていた織姫にちなんで、およそ70年前の1956年に始まりました。一宮市にある真清田(ますみだ)神社**が祀(まつ)る神様の母神である織物の神様の御加護により、この地方の織物業が発達したと言われています。開催当初は神社を中心に行われていましたが、現在ではダンスコンテストや盆踊りなど、子どもから大人まで楽しめるようなイベントも開催しています。一方、開催当初からの伝統的な行事「御衣奉献大行列(おんぞほうけんだいぎょうれつ)」も行われています」

開催当初から行われている御衣奉献大行列 Photo: おりもの感謝祭一宮七夕まつり協進会

織物の神様に感謝し、神社へ毛織物を奉納する「御衣奉献大行列」は、神職を始め、武者など様々な伝統的な衣装を着た人たち120名が120mもの行列をなして練り歩く。日本の伝統的な装束をさまざまに見ることができる行事なのだそう。また、オリジナルのテーマ曲に合わせて自由な振り付け・衣装でコースをパレードする「ワッショーいちのみや」など各種パレードのほか、会場を華やかに色鮮やかな七夕飾りも見どころで、昨年(2022年)は、約71万5000人の観客でにぎわった。

見どころの一つであるコスプレパレード Photo: おりもの感謝祭一宮七夕まつり協進会

事務局の方のお話によれば「今年(2023年)は、7月27日から7月30日まで行われましたが、特に人気を博したのがコスプレパレードです。漫画やアニメのキャラクターの格好をした人々が、商店街を練り歩きました。一般の方々がコスプレをして参加していました。観客のみなさんもお気に入りのコスプレイヤーと写真が撮影できたりと、触れ合いも楽しく好評でした」とのこと。コスプレパレードだけではなく、盆踊りへの参加なども自由だそう。将来、機会があれば、華やかな七夕飾りを観覧するだけではなく、ぜひ日本の七夕祭りを体験する場として楽しんでみてほしい。

* 太陽暦が採用される以前の日本では、月の満ち欠けをもとに季節をあらわす太陽の動きを加味して作られた「太陰太陽暦」が使われていました。一口に太陰太陽暦といっても、歴史の中ではたくさんの暦法(計算の規則)が使われてきましたが、太陽暦への改暦の直前に使われていた「天保暦」と呼ばれる暦法のことを、一般には「旧暦」と呼んでいます。
** 真清田神社は、社伝によれば鎮座は、神武天皇33年(紀元前630年ころ)とされ、祭神は天火明命(あめのほあかりのみこと)」で、その母神は、「萬幡豊秋津師比売命(よろずはたとよあきつしひめのみこと)」。