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July 2023

夏の夜空を艶やかに彩る花火大会

  • 圧巻の大会提供花火のフィナーレ Photo:秋田県大仙市
  • ハイライトである「大会提供花火」 Photo:秋田県大仙市
  • 2013年の「10号玉 自由玉の部」優勝作品 Photo:秋田県大仙市
  • 2016年の「10号玉芯入割物の部」優勝作品 Photo:秋田県大仙市
  • ユニークな題名にも注目『翡翠をちりばめたペンダント』 Photo:秋田県大仙市
  • 斬新な演出にも定評がある「大会提供花火」の一場面 Photo:秋田県大仙市
圧巻の大会提供花火のフィナーレ Photo:秋田県大仙市

夏の風物詩の代表格である花火大会。なかでも秋田県大仙市(だいせんし)で開かれる全国花火競技大会「大曲(おおまがり)の花火」は日本でも有数の花火大会だ。

「大曲の花火」は、今年は8月26日(土)に秋田県大仙市大曲地区で開催される花火大会だ。全国の花火師が花火の美しさや独創性を競う大会形式になっており、今年、全国から28の花火業者が参加し、約1万8000発の花火が打ち上げられる予定という。

ハイライトである「大会提供花火」 Photo:秋田県大仙市

大仙市で花火が打ち上げられるようになった歴史は古く、1800年代まで遡る。当時の五穀豊穣・商売繁盛・家内安全を祈る神社の祭典に、人々が花火を奉納する習わしがあったそうだ。大曲の花火が歴史に登場するのもこの時期であり、1826年にこの地を訪れた紀行家・菅江真澄(すがえ ますみ)が描いた地誌『月の出羽路』の挿絵に登場するのが文献では初めてだと言われている。

2013年の「10号玉 自由玉の部」優勝作品 Photo:秋田県大仙市

やがて、全国の花火師がその技量を競い、技術研鑚の成果を発揮する大会へと発展。花火業界で最高の名誉とされる内閣総理大臣賞が授与される日本有数の大会へと成長した。実行委員会の茂木寿弘(もてぎ としひろ)さんに、競技大会のみどころを教えてもらった。

「競技種目としては、煙や色の違いを競う昼花火の部、10号玉(約30センチメートル)サイズの芯入割物(しんいりわりもの)*と呼ばれる花火を打ち上げ菊型花火の表現を競う部、10号玉サイズの花火に、花火師ごとの工夫や技術を凝らして競う自由玉の部、2分半の持ち時間の中でテーマや表現性を競う創造花火の部の4部門で競い合います。部門ごとに審査方法は変わりますが、色彩やリズム、立体感や構成など複合的な観点で審査されます。それぞれの花火に込めた職人の技術やこだわりを存分に楽しめる内容になっていると思います」

2016年の「10号玉芯入割物の部」優勝作品 Photo:秋田県大仙市
ユニークな題名にも注目『翡翠をちりばめたペンダント』 Photo:秋田県大仙市

また、競技だけではなく、大会終盤で打ち上がる「大会提供花火」にも一見の価値がある。
「大曲の地元業者4社が共同で制作する「大会提供花火」は、約6分間のワイドスターマインです。打上幅は約900メートルもあり会場から見ていると視界に入りきらない程の花火が打ち上がります。競技大会終了後に観客がライトを振って花火師に感謝を伝える「エールの交換」なども名物となっています」(茂木さん)

斬新な演出にも定評がある「大会提供花火」の一場面 Photo:秋田県大仙市

特に日本を訪れた人に感じてほしいのが、日本人ならではの繊細さが込められた作品性や、精度の高さだという。

「日本人ならではの繊細さ、美意識は海外の花火玉とはまた違う良さがあると思います。また、競技大会ということもあり、花火玉一発の精度は素晴らしく、上空に打ち上がる花火は綺麗な球形になります。今年は新型コロナ感染症の影響により取りやめにより、4年ぶりの通常開催となります。ぜひ「大曲の花火」でしか見ることのできない素晴らしい花火を体験していただきたいですね」

* 芯入割物とは、同心円状に真円を描く菊型花火のこと。「芯」は親星である外側の花弁の内側に入れる花弁のことで、芯を入れることで花火が二重に開く。今大会では4層以上の円を描く三十芯以上の割物花火が参加対象となっている。